需給動向 海外

◆豪 州◆

豪州の洪水被害による乳製品輸出への影響は限定的


◇絵でみる需給動向◇


2011年7月〜11月の生乳生産量はわずかに増加

 デイリー・オーストラリア(DA)によると、2011年7〜11月における生乳生産量は、前年同期比0.4%増の423万7千キロリットルとわずかながら増加した。州別にみると、最大の生産州であるビクトリア(VIC)州が同0.7%増の280万7千キロリットル、2番目に多いニューサウスウェールズ(NSW)州が同2.2%減の47万3千キロリットルなどとなった。

図12 月別生乳生産量の推移
資料:DA

豪州東部で大規模な洪水が発生

 豪州気象局の発表によると、豪州東部では、11月下旬から12月末までの約1ヵ月の間に4回の大雨を記録した。こうした大雨の影響により、同地域ではクイーンズランド(QLD)州を中心に大規模な洪水が発生した。乳業部門では、ブリスベン南部およびQLD州中部のロックハンプトンに所在する乳業工場が閉鎖するなどの影響が出た。このため、一部の牛乳・乳製品は、QLD州から南部州へシフトし、ひっ迫する乳製品市場にいくらかの影響を与えたとされる。なお、家畜の消失については大きな被害は出なかったようである。

VIC州では、マレーゴールバン社の工場が数週間に渡り閉鎖

 1月には、酪農主産地のVIC州でも洪水被害が発生している。豪州農業資源経済科学局(ABARES)が1月21日に発表した報告書によると、豪州最大の乳業メーカー、マレーゴールバン社は、加工原料乳生産地域である同州北部に所有するロチェスター工場を、2〜3週間閉鎖した。工場の操業は停止したものの、生乳はほかの工場に移送されたため、処理には支障がなかったようである。そのほか、道路の封鎖によって集乳が妨げられるなどの影響が出たものの、生乳生産や乳製品輸出に大きな影響はないと見込まれる。

かんがい酪農が盛んなマレー・ダーリング川流域の水量が大幅に回復

 大雨や洪水は乳製品工場の閉鎖や出荷の遅延などをもらす一方、酪農の主産地であり、かんがい酪農が盛んなマレー・ダーリング川流域では、大幅に貯水量が回復している。ABARESが1月13日に発表した報告書によると、貯水率は、1年前には26%に過ぎなかったが、81%まで回復している。同流域の水資源を管理するマレー・ダーリング川流域庁(MDBA)は昨年10月8日、流域のかんがい用水を大幅に削減する水資源計画案を発表した。これに対し、農業団体はかんがい用水の割り当ての減少につながることから、計画に反発しており、今回の水量回復が今後の動きにどのように影響するか注目される。

 


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