需給動向 国内

◆飼 料◆

23年4月〜6月期の配合飼料供給価格、約1,800円値上げ


◇絵でみる需給動向◇


 全国農業協同組合連合会(全農)は3月14日、平成23年4〜6月期の配合飼料供給価格の値上げを発表した。価格は全国全畜種総平均トン当たり、前期(1〜3月)から約1,800円引き上がる。震災の影響を考慮し、価格改定の実施時期は5月1日出荷分からとなる。

 商系各社、専門農協も既に配合飼料供給価格を同約2,260円〜2,400円値上げすることを発表している。

 なお、配合飼料価格が直近1年間の平均価格を上回った場合に発動される「通常価格差補てん金交付事業」により、配合飼料価格安定基金(通常飼料基金)から同4,700円が補てんされるため、生産者の実質負担額は軽減される。

 全農が発表した飼料情勢は以下のとおり。

①トウモロコシのシカゴ定期相場の価格は、12月上旬にはブッシェル当たり500セント台で推移していたが、エタノール向けや甘味料向けなどの需要増加により、期末在庫率が米国農務省見通しで史上二番目に低い5%台に下方修正されたこと、米国の金融緩和政策に伴い大量の投機資金が穀物市場に流入したことから大きく上昇し、同700セント前後で推移している。今後は、在庫率が低水準にとどまる一方で、エタノール向けなどの需要が引き続き旺盛であることから、価格は堅調に推移するものと見込まれる(図7)。

図7 トウモロコシ、大豆ミールのシカゴ定期相場
資料:日本経済新聞

②大豆ミールのシカゴ定期相場の価格は、12月上旬にはトン当たり380ドル台で推移していたが、トウモロコシ同様大豆の期末在庫率が4%台と歴史的な低水準に下方修正されたことから上昇し、同400ドル前後で推移している。

③米国ガルフ・日本間のパナマックス型海上運賃は、12月にはトン当たり60ドル前後で推移していたが、中国の鉄鉱石輸入の停滞や、豪州の洪水被害による石炭の輸出停止などから船腹需要が緩和され、現在は同55ドル前後で推移している。今後は、南米の穀物輸出が最盛期を迎えることから、海上運賃は底堅く推移するとみられる(図8)。

図8 海上運賃の推移(ガルフ〜日本)
資料:社団法人配合飼料供給安定機構調べ

④外国為替は、日本経済の回復には不透明感がある一方、米国は輸出促進のためドル安に誘導する金融政策をとっておりドルの上昇が抑えられていることから83円を挟んだ水準で推移している。今後は、改善の兆しがある米国経済も本格的な景気回復までには時間がかかるとみられるため、一進一退の相場展開が見込まれる。

参考

○牛肉需給表
(単位:トン、前年比%)
資料:農水省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、在庫量は農畜産業振興機構調べ。
  注:数量は部分肉ベース。輸入量は煮沸肉並びにくず肉のうちほほ肉及び頭肉のみ含む。
※23年2月の生産量は東北地方太平洋沖地震の影響により、青森県を除いた数値。また、対前年同月比も同様に算出。
○豚肉需給表
(単位:トン、前年比%)
資料:農水省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、在庫量は農畜産業振興機構調べ
  注:数量は部分肉ベース
※23年2月の生産量は東北地方太平洋沖地震の影響により、青森県を除いた数値。また、対前年同月比も同様に算出。
○鶏肉需給表
(単位:トン、前年比%)
資料:農水省食肉鶏卵課推計(21年12月をもって公表終了)、「食鳥流通統計」、財務省「貿易統計」、在庫量は農畜産業振興機構調べ
注1:生産量は骨付き肉ベース
  2:成鶏肉を含む
  3:輸入量には鶏肉以外の家きん肉を含まない。
  4:22年1月以降の生産量は(社)日本食鳥協会および(社)日本種鶏孵卵協会の調査結果をもとに、農畜産業振興機構が推計。このため、データの連続性に注意されたい。

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