畜産需給部 |
【要約】当機構では、加工乳・乳飲料等の生産実態を把握するために、「加工乳・乳飲料等の生産実態調査」を実施しているが、22年度に実施した21年度の生産実態を取りまとめたので、その概要を紹介する。本調査は、加工乳・乳飲料等を製造している全国145の企業を対象とし、「加工乳」、「乳飲料」、「はっ酵乳」、「生クリーム等(「クリーム」及び「乳等を主要原料とする食品」をいう。)」の4品目について、電子媒体等を利用してアイテムごとの成分、生産量など調べたものである。 平成21年度の調査概況平成21年度の加工乳・乳飲料等の生産量は、大手3社注1では、加工乳が大きく増加、乳飲料注2は微増となっている。 大手3社では、乳脂肪が1.5%以上、3.8%未満のタイプが増加した。乳飲料は白物飲料が増加している。農協プラント系(以下、「農プラ系」という。)では、加工乳が減少し、乳飲料は増加している。また、中小系では、加工乳、乳飲料ともに増加している。 はっ酵乳の生産量は、ハード、ドリンクタイプは減少しているものの、ソフトタイプの増加が顕著で、プレーン、フローズンタイプも微増しており、全体の生産量としては増加となっている。 生クリーム等の生産量は、前年度に比べて乳脂肪率にかかわらず一応に増加している。 注1 本調査の企業区分は次のとおりである。大手3社は明治乳業、森永乳業、日本ミルクコミュニティをいう。農プラ系は、主に酪農生産者団体が出資する乳業会社、中小系は大手3社・農プラ系を除くその他の乳業会社をいう。 注2 乳飲料は、大きく分けると、牛乳をベースとして牛乳の栄養分や風味をそのままにカルシウムや鉄、ビタミン、ミネラルなどの栄養分を強化したもの「白物乳飲料」と、コーヒーや果汁などの入った色のついているもの「色物乳飲料」がある。本調査では、風味にかかわらず、白いものを「白物乳飲料」、色のついているものを「色物乳飲料」に区分している。 1.生産シェア(1)加工乳・乳飲料加工乳では、中小系が49.1%とおおむね半分のシェアを占めている。乳飲料では、色物乳飲料と白物乳飲料では大手3社のシェアが高いが、シェアでは前年度より低下している(図1)。
(2)はっ酵乳はっ酵乳注3では、乳業系注4が87.0%のシェアを占め、前年度から3.6ポイント上昇している。種類別では、ハード、ソフト、プレーンタイプは乳業系が微増、ドリンク、フローズン等では、乳業系が減少している(図2)。
(3)生クリーム等生クリーム等全体の生産比率は、乳業系が12.3ポイント上昇し88.2%を占めている。種類別では、乳脂肪18%以上の製品は、乳業系が5.2ポイント上昇し99.0%を占めている。また、乳脂肪率が18%未満の製品も乳業系の占める割合が上昇しており、前年度に比べて28.3ポイント上昇し66.6%を占めた(図3)。
注3 はっ酵乳の区分は、「ハード」は寒天やゼラチン等で固形化したもの、「ソフト」は果肉等を加えた流動性のあるもの、「プレーン」は牛乳・乳製品をはっ酵させたもの、「ドリンク」はプレーンヨーグルトを液状化したもの、「フローズン等」はフローズンヨーグルトや上記以外のもの。 注4 本調査では、牛乳処理施設を持っている会社を乳業系、牛乳処理施設を持っていない会社を非乳業系とする。 2.成分(1)加工乳「低脂肪」タイプの乳成分の平均は、乳脂肪率0.9%、無脂乳固形分率9.2%、「濃厚」タイプは、乳脂肪率4.1%、無脂乳固形分率8.9%である。「その他」(「低脂肪」「濃厚」タイプ以外のもの)の平均は、乳脂肪率2.7%、無脂乳固形分率8.2%である(図4)。
(2)乳飲料「色物乳飲料」より「白物乳飲料」の方が、前年度同様、乳脂肪率、無脂乳固形分率ともに高い傾向が見られる。「色物乳飲料」の乳脂肪率は平均で1.1%、前年度同様「白物乳飲料」では1.6%、無脂乳固形分率は「色物乳飲料」が平均で4.1%に対し「白物乳飲料」は8.4%となっている。 企業区分別に乳飲料と加工乳を比較すると、大手3社の「加工乳(平均)」の乳脂肪率は、「白物乳飲料」と比べて非常に高くなっている(図5)。
3.乳脂肪率ごとの生産量(1)加工乳乳脂肪率ごとに生産量を見ると、「低脂肪」、「濃厚」タイプは減少し、「その他」タイプの製品は増加している。「低脂肪」タイプの製品が全体の47.8%を占めている。企業区分別に見ると、全体的には前年度同様に、農プラ系、中小系では「低脂肪」タイプの製品が多く、大手3社では、2.5%〜3.5%の「濃厚」タイプが多い傾向が続いている。また、大手3社の「低脂肪」は中小系の「濃厚」タイプが増加傾向を示している。一方、農プラ系では「低脂肪」、「濃厚」ともに減少している(図6)。
原材料使用割合の推移を見ると、前々年度までは生乳の使用割合の減少傾向が続いていたが、21年度は前年度並みの26.5%と使用割合の減少傾向が下げ止まった(図7)。
加工乳の生産量は、全体的には微増傾向にあり、今後は横ばい、又は増加するとの見方が多かった。 (2)乳飲料乳飲料全体では、乳脂肪率0.5〜1.0%の製品が全体の42.2%を占め主力となっている。同区分の製品は、「色物乳飲料」では全体の48.2%を占めている。 「白物乳飲料」では、乳脂肪率0.5〜1.0%の製品が全体の生産量の34.1%を占めている。 企業区分別に見ると、「白物乳飲料」は、大手3社では、乳脂肪率1.5〜2.0%のものが、また、農プラ系及び中小系では、乳脂肪率0.5〜1.0%の製品が主力となっている(図8)。
「白物乳飲料」の原材料使用割合の推移を見ると、前年度減少した生乳は4.7ポイント増加となった(図9)。
乳飲料の生産量は、大手3社、農プラ系、中小系で、「色物乳飲料」のコーヒータイプがそれぞれ50.1%、33.9%、35.2%を占めている。 (3)はっ酵乳乳脂肪率ごとの生産量では、乳脂肪率3.0〜3.5%の製品が全体の26.0%と最も多く、特に乳業系だけでは29.4%を占めている。タイプ別に見ると、ドリンクタイプの製品では、乳脂肪率が1.0%未満のものが多く、ソフトタイプでは0.5%未満のものと2.0%〜2.5%のもの、プレーンタイプでは3.0〜3.5%のものに集中している(図10)。
はっ酵乳の生産量は、前年度比112.0%増加しているが、特にソフトタイプの増加が214.6%増加している。 (4)生クリーム等乳脂肪率ごとの生産量を見ると、乳脂肪率18%以上の製品では、42.0〜48.0%の割合が最も高く、32.8%を占めている(図11)。乳脂肪率18%未満の製品では、乳脂肪率0%の製品(植物油脂を使用した製品等)が66.3%を占めている。
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