需給動向 海外

◆豪 州◆

2010/11年度の生乳生産量は前年度並みの見込み


◇絵でみる需給動向◇


1月までの生乳生産量は、前年並み

 デイリー・オーストラリア(DA)の統計によると、2010/11年度(7〜6月)における2011年1月までの生乳生産量は、前年同期比0.1%減の588万6千キロリットルとなった。州別にみると、ニューサウスウェールズ州が同3.3%減の64万7千キロリットル、クイーンズランド(QLD)州が同4.7%減の31万2千キロリットル、南オーストラリア(SA)州が同5.5%減の35万4千キロリットルといずれも減少した。なお、QLD州については、洪水の被害により集乳に支障がきたし、1月の生産量が前年同月比20.5%減と大幅に前年を下回った。一方、加工原料用の生乳生産が主となるビクトリア(VIC)州が前年同期比0.6%増の389万4千キロリットル、タスマニア(TAS)州が同3.6%増の45万キロリットルとなった。

洪水の影響は限定的も、乳牛不足から増産は困難か

 これら結果を踏まえ、2010/11年度の生乳生産量は、900万〜910万キロリットルと前年度並みを見込んでいる。予測値に幅があることについてDAは、洪水による影響の程度が現段階では明らかになっていないためとしている。なお、豪州農業資源経済科学局(ABARES)は、3月時点で、同年度の生乳生産量を前年度比1%増の911万キロリットルと見込んでいる。

 今後の見通しとしてDAは、飼料コストが低減され、生乳の増産意欲向上に結びつくとしている。これは、冬穀物が増産見込みであることに加え、収穫期である2010年11月頃から続いた大雨を要因に、品質が低下し、飼料向けへの割合が高まったためである。しかしながら、乳牛の価格高および供給不足は解消されていないため、大幅な増産については難しいとみられる。

 豪州気象庁によると、2011年3〜5月の降水量は、TAS州、SA州およびVIC州の南部で平年を下回ると予測されている。VIC州南部の酪農は、かんがい用水に頼らない放牧中心であるため、天候によっては生産の下げ要因となることも懸念される。

図12 月別生乳生産量の推移
資料:DA

全粉乳、脱脂粉乳が増加するも、チーズは減少

 2010/11年度における1月までの乳製品生産量は、品目ごとにばらつきがでている。全粉乳については、中国向けの堅調な需要を背景に前年同期比25.1%増の10万8千トンと、2010年6月以降8カ月連続の増加となった。脱脂粉乳についても、同18%増の15万1千トンと前年を大幅に上回った。一方、バターは同2.7%減、チーズは同5.7%減の20万トンといずれも減少した。


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