需給動向 国内 |
牛乳の生産量は、近年、少子高齢化、他飲料との競合、経済性志向の高まりによる成分調整牛乳や加工乳の生産量の増加などにより、平成16年度以降減少を続けている。一方、学校給食用牛乳供給数量は、37〜38万キロリットルでほぼ安定的に推移している。この結果、牛乳生産量に占める学校給食用牛乳の割合は、19年度が10.6%、20年度が10.8%で推移し、21年度は前年度より1.3ポイント上昇し12.1%となった。22年度(4月〜1月)についても、12.2%と上昇傾向が継続している(図5)。
こうした状況の中、3月11日の東日本大震災発生後、北海道、山梨県、静岡県を含む東日本地域16都道県の学校給食用牛乳供給事業の事業実施主体を対象に新学期の学校給食用牛乳の供給見込みを聴取した。これによると、 ①地域によっては学校が壊滅的な被害を受けており、学校給食自体の実施が困難となっている ②学校給食用牛乳を供給する東北のある大手乳業メーカーは、工場の稼働まで数カ月を要することから、他県の自社工場より輸送して、対応する意向である ③包装資材が不足気味であるが、学校給食用には優先的に取り組む意向である ④計画停電が実施されれば、保冷庫が機能しないので、供給に支障が出る可能性がある ⑤原発事故による出荷停止の影響により原乳の調達が困難となっている などの回答が寄せられた。 計画停電の学校給食用牛乳への影響については、ある程度状況が落ち着いてきた感があるものの、甚大な被害を受けた東北沿岸部では、学校給食自体の実施が困難な地域もあるため、供給量の減少が見込まれている。こうした地域において学校給食用牛乳の供給がいつ頃から行われるか現時点では見込めないが、原乳が不足する地域にあっても乳業メーカーは学乳については優先的に製造するとしており、早期に通常の供給体制に戻ることが期待されている。 今回の震災は、被害がかつて経験したことがない規模で、経済に及ぼす影響も計り知れない状況にあり、牛乳・乳製品の需給動向の見極めには、しばらくの時間が必要とみられる。 |
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