需給動向 海外

◆米 国◆

生乳生産は順調に増加、乳価は堅調であるが、飼料価格高騰により採算ラインには達せず


◇絵でみる需給動向◇


搾乳牛頭数は前年比0.7%増、生乳生産量は2.0%増

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が3月18日に公表した「Milk Production」によると、搾乳牛飼養頭数は、乳用牛とう汰事業の効果などから、2009年3月以降前年同月を下回って推移してきたが、2010年9月に前年並みとなり、それ以後順調に増加し2011年2月は916万頭(前年同月比0.7%増)となった。一方、1頭当たり乳量は一貫して前年同月を上回っており、2月も同1.3%増の746キログラムとなった。この結果、生乳生産量は、2010年3月以降前年を上回って推移し、2月は同2.0%増の682万9千トンとなった。(図7)

図7 生乳生産量等の増減率
資料:USDA/NASS「MILK PRODUCTION」
  注:前年同月との比較

 なお、搾乳牛頭数が増加しているにもかかわらず、2010年9月以降、生乳生産量の増減率が縮小しているのは、乳用牛とう汰後に未経産牛が多く導入されたため、1頭当たり乳量が低下したことによる。

 同省経済調査局(USDA/ERS)は毎月公表する「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」において、2011年の生乳生産量について、3月16日の予測では前年を1.7%上回る8890万4千トンとしている。

3月の酪農家の収益は改善するも、飼料穀物価格の高騰が続く中、予断は困難

 生乳生産コストの指標である生乳/飼料比(生乳1ポンド当たりの販売収入/酪農向け飼料1ポンド当たりの価格)について見ると、2010年下半期は前年同期比14.3%増の2.25となり、採算ラインとされる2.5水準を依然下回った。飼料費については前年と比べて高騰したが、乳価については国内外の乳製品需要が堅調であったことなどから16カ月連続で前年同月を上回って推移したため、生乳/飼料比は1月の1.79から2月は1.96、そして3月はさらに前月から0.22ポイント上回る2.18となった。しかし、トウモロコシ価格などが高騰していることから、酪農経営の収益は容易には好転しないと見込まれる。(図8)

図8 生乳/飼料比の推移
資料:USDA / NASS「Agricultural Prices」

需給ひっ迫によりバターの卸売価格が高騰

 USDA/NASSが4月5日に公表した「Dairy Products」によると、2011年2月の乳製品の生産量は、バターが前年同月比6.4%増の68,085トン、脱脂粉乳が同6.9%減の49,707トン、チーズが同4.1%増の366,111トンとなった。バターについては、生産量は7カ月連続で前年同月を上回っているが、在庫は14カ月連続で前年同月を下回っており、2月は前年同月を62.9%上回る62,893トンとなっている。このような需給ひっ迫を反映し、バターの卸売価格は2009年12月以降前年同月を上回って推移し、2011年3月は206.6セント/ポンド(同42.5%高)となった。

図9 バター在庫量の推移
資料:USDA/NASS 「DAIRY PRODUCTS」

元のページに戻る