調査・報告

平成22年度牛乳・乳製品の消費動向に関する
調査結果の概要

調査情報部


【要約】

 本調査は牛乳・乳製品の消費構造の変化や動向を把握するため、牛乳・乳製品の消費・購入・嗜好等に関する基本的な項目を、地域・年代などに偏りが生じないように調査設計を行い、牛乳・乳製品の消費拡大方策を立案するのに役立つ資料を得ることを目的として実施した。

 ここでは、白もの牛乳類の調査結果を中心に抜粋したが(報告書の要約版、全文については、機構ホームページ(http://www.alic.go.jp)で掲載)、牛乳・乳製品の消費拡大のため、この調査結果が酪農乳業関係者にとどまることなく広く活用され、牛乳・乳製品の消費拡大を進める上での参考になることを期待する。

T 白もの牛乳類の飲用実態

1.白もの牛乳類の飲用頻度

〜白もの牛乳類をほぼ毎日飲む人は45%〜

 2010年の調査結果では、飲み方を問わず白もの牛乳類の飲む頻度をきいたところ、毎日飲むと回答した人は36%いた。週に5〜6日飲む人を合わせると、中学生以上の45%が毎日飲んでいることになった。ほぼ毎日飲用する人の割合は2005年以降、減少傾向となっている。

図1 白もの牛乳類の飲用頻度(時系列)
表1 白もの牛乳類を飲む人の割合(性・年齢別)
〈ほぼ毎日飲む人〉
「毎日飲む」「週に5〜6日飲む」の合計

 ほぼ毎日飲む人の割合は、男女とも中学生で高く、それぞれ79%、69%となった。また男性の20代〜50代、女性の10代(中学生除く)〜30代では、性別の平均を下回っている。

 2005年まで10%台であった「全く飲まない」人の割合は、2006年に14%に増加し、2007年以降も13%前後と大きな変化は見られなかった。

2.1日あたりの白もの牛乳類の飲用量

〜1日あたりの平均飲用量は女性でやや減少〜

 白もの牛乳類の1日あたりの飲用量(注)は、男性は横ばいであるが、女性はわずかに減少した。性年代別に見ると、男性は20代で減少傾向、30代40代で増加傾向が見られた。女性では、2009年に比べ、20代、40代、70代以上で増加、中学生、10代、30代では大きく減少した。

(注)白もの牛乳類の1日あたりの飲用量は、本調査の白もの牛乳類の飲用頻度と白もの牛乳類を飲む時の1日に飲む量の回答から、飲用量を算出し、母数には非飲用者も含めて算出した平均量。

図2 1日あたりの白もの牛乳類の平均飲用量(性・年齢別)

3.白もの牛乳類の飲み方

〜そのまま飲む頻度がやや低下〜

 白もの牛乳類の飲み方は、「そのまま飲む」飲み方で「毎日飲む」人の割合は2割強、「他のものと混ぜて飲む」飲み方で「毎日飲む」人の割合は2割弱となった。

 過去3年間の変化を飲み方別に見ると、「他のものと混ぜて飲む」飲み方では2009年と大きな変化は見られないが、「そのまま飲む」飲み方では3年間で飲用頻度が最も低くなっている。

図3 白もの牛乳類の飲用頻度(時系列)
図4 白もの牛乳類の飲用頻度(季節変動)
表2 白もの牛乳類を他のものと混ぜて「毎日飲む」飲用者率(年間平均)
(男性計/女性計はそれぞれn=1600、それ以外はいずれもn=200)(%)

 夏場と冬場の飲用頻度を比べると、「そのまま飲む」飲み方は、「他のものと混ぜて飲む」飲み方より、季節による変動が大きいことがわかった。

 性・年齢別に見ると、2009年に比べ白もの牛乳類の飲用量が増えた女性の40代は、混ぜて「毎日飲む」飲用者率が最も高い層でもあった。

4.白もの牛乳類の飲用シーン

〜飲用シーンのトップは「朝食をとりながら」が45%で微増〜

 白もの牛乳類を飲むシーンで多いのは、「朝食をとりながら」「のどがかわいた時」「おやつや間食時」でそれぞれ4割前後となった。

 2010年は、2009年も飲用シーンのトップであった「朝食をとりながら」が微増、2番目の「のどがかわいた時」は横ばいとなった。

図5 白もの牛乳類の飲用シーン(複数回答)〈飲用者ベース〉

5.白もの牛乳類の飲用理由

〜「カルシウム」が牛乳飲用の最大の理由〜

 白もの牛乳類を飲む理由で最も多いのは「カルシウムがあるから」で、2番目に「栄養があるから」が多く、この3年間同様の傾向であった。2010年は、これまで3番目の「健康によいから」と「他のものと混ぜたり、他のものにかけたりするため」が入れ替わった。

 上位の「カルシウム・栄養・健康」に関する理由が減っているのに対し、「他のものと組み合わせるため」という理由は増加傾向にあった。

図6 白もの牛乳類を飲む理由(複数回答)〈飲用者ベース〉

U 白もの牛乳類の飲用を阻害する要因

〜牛乳を飲まない理由は「牛乳を飲むとお腹の調子が悪くなる」が35%〜

 白もの牛乳類の飲用量が減少した、あるいはもともと飲まない理由では、「牛乳を飲むとお腹の調子が悪くなる」が最も多く35%となった。

 以下、牛乳を飲まない理由は、「牛乳は飲んだあと口に残る(32%)」「牛乳は味にくせがある(30%)」「牛乳のにおいが嫌い(27%)」の順となった。

図7 飲用量減少・非飲用理由
〈飲用量が減少した人/非飲用者ベース〉

V 白もの牛乳類のベネフィットについての認識

〜牛乳の「カルシウム」はベネフィットとしての認識、ニーズが高い〜

 「白もの牛乳類に関してこの半年に見聞きしたもの」との問いには、「カルシウムやたんぱく質など身体に必要な栄養素がバランス良く含まれている」との回答が5割強で最も多く、「そういうよいことがあるなら飲んでもよい牛乳」という問いにも、「牛乳にはカルシウムの吸収を助けて骨粗しょう症を防ぐ成分が含まれている」との回答と並んで4割強で最も多くなっている。

 総じて、カルシウムに関連するベネフィットを見聞きし、ニーズが高い様子がうかがえる。

図8 見聞きしたことのある白もの牛乳類のベネフィットとニーズ(MA)

 一方、「牛乳は血糖値の上昇が緩やかなので、ダイエット効果がある」や「牛乳の良質なたんぱく質やビタミン類は、ハリやツヤのある肌をつくる」を見聞きした人は1割未満だが、3割弱の人が飲んでもよいとしている。

 牛乳類のベネフィットについて、性・年齢別に見てみると、女性の40代は、リラックス効果や美肌、ダイエットといった、カルシウム以外の白もの牛乳類のベネフィットにも比較的関心が高いことがわかる。

表3 白もの牛乳類のベネフィット

W 調査の概要

調査方法

1.調査方法

  留置併用訪問面接法

2.調査対象者

  全国の中学生以上の男女個人

  回収 3200人

3.調査地域とサンプル数

  回収サンプルの地域別内訳は下表のとおり(沖縄を除く)。構成比はウェイト集計後の値。

4.抽出方法

  エリアサンプリング *地点の抽出および調査対象者の抽出手順は以下の通り

 まず、平成17年国勢調査時の母集団人口に基づき、地域(9分類)と都市規模(5分類)により層化し、調査地点数を比例配分する。各層ごとに大字・町丁目の該当人口に応じて、調査地点を抽出する。各調査地点において、世帯(居住者のいる一般世帯住宅住戸)を系統抽出する。世帯から個人の抽出は、性・年齢別の割当に従って、訪問世帯において対象者条件に適合する個人を抽出する。

5.サンプル設計およびウェイト集計について

 消費動向調査では、2007年度まで、地域・都市規模および性・年齢別の人口構成を反映したサンプル設計を行なってきたが、若年層では回収サンプル数が少なく、性・年齢別の分析を行なうには十分でなかった。2008年度より、性・年齢別に200サンプルずつを均等に割り当てるクォータ法により調査を実施し、集計時にサンプルごとに母集団人口構成に応じたウェイト値を与え、サンプル構成を補正した。本報告書記載のサンプル数は実際の回収サンプル数、構成比(%)はウェイト集計後の数値である。

6.調査期間

 2010年10月1日(金)〜11月7日(日)

データを読むうえでの注意点

 この調査は消費者の視点にたちアンケートを実施している都合上、牛乳類の分類については、種類別牛乳の他にも低脂肪乳、無脂肪乳、栄養成分強化牛乳(カルシウム、鉄分、ビタミンDなどを加えたもの)を白もの牛乳類としており、法律や規約上の種類別分類とは異なる。

 調査にご協力いただきました各都道府県の皆さまに深く感謝しますとともに、併せて御礼申し上げます。

 


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