2011年第2四半期の鶏肉の輸出は、数量が前年同期比3.1%増の90万3523トン、金額が同28.3%増の18億3393万7千ドルであった。第1四半期からさらにドル安レアル高が進行したにもかかわらず、依然として堅調な国際需要に支えられ、輸出量および輸出額はともに増加することとなった。
国別にみると、第1四半期と同様、最大の輸出先はサウジアラビアで同20.1%増の15万6741トンであった。日本向けは、東日本大震災により東北地方の鶏肉生産地が大きな被害を受け、当面の鶏肉供給に不安があったことから輸入品の買いが進み、同26.7%増の12万2512トンであった。
中国向け輸出量は4万3866トンと前年同期を57.8%上回る大幅増となった。これは、ルセフ・ブラジル大統領が4月に訪中した際、中国政府が新たに25カ所の食肉処理施設に対して、中国向け輸出施設と認定したことにより、合計50カ所の施設が認定されたことが輸出増に寄与したものと考えられる。一方、これまで中国への仕向け地であった香港への輸出量は同9.6%減の8万1209トンとなった。業界関係者によれば、中国政府は今後、40カ所以上の食肉施設を輸出施設として認定するとしており、中国向けの輸出量が加速するものとみられる。
表4 第2四半期の鶏肉輸出 |
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資料:ブラジル開発商工省貿易局(SECEX) |
図7 為替レート(レアル/ドル)の推移 |
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資料:米連邦準備銀行(FRB) |
国内価格は第1四半期より下落した一方、輸出価格は日本向けのみ上昇傾向止まず
国内価格は、2010年第2四半期以降、上昇傾向にあったものの、2011年第1四半期には下落に転じた。最近1年の生産者価格をみると、昨年8月の1キログラム当たり1.60レアルを底値に、2011年2月まで上昇した後、下落に転じ、2011年6月は前年比0.6%高の1キログラム当たり1.66レアルとなった。同様に、卸売価格および小売価格は昨年第2四半期の底値以降、2010年12月、2011年1月をピークに第2四半期まで下落が続いている。2010年以降、国内外の需要が増加したことから、生産量も増加したものの、2011年に入り供給量が需要量を上回ったことが、国内価格の下げ要因となったと推察される。
輸出価格は、最近1年以上、上昇基調にあったが、2011年5月をピークとし、6月は同2.05レアルと緩やかな下降がみられた。このように、国内価格および輸出価格の上げ止まりがみられる中、対日輸出価格については、昨年8,9月に一時的に足踏みしたものの、すでに2年以上も上昇が継続し、2011年6月は、前年同月比37.4%高の1キログラム当たり3.14レアルとなった。ブラジル産鶏肉は日本の鶏肉輸入先の約9割を占めることから、価格の高騰が今後も続けば、2011年後半における日本国内の鶏肉市場にも大きな影響を与えそうだ。
2011年の鶏肉生産量は増加の見込み
ブラジル食糧供給公社(CONAB)の食肉生産量予測(7月15日発表)によると、2011年の食肉生産量は前年比2.1%増の248億6800万トンとなり、そのうち牛肉は同2.8%減の85億3700万トン、鶏肉は同5.9%増の130億3600万トンとされた。肥育牛の不足から牛肉生産は減少する一方、鶏肉については、引き続き強い国内需要があること、中東・中国向けの輸出量増が大きく見込まれることから、2011年の食肉生産量全体の5割超を占めると予測された。
表5 鶏肉の生産・価格動向 |
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資料:ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)、サンパウロ州農務局農業経済研究所(CEPEA) |
表6 鶏肉の輸出価格動向 |
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資料:SECEX |
表7 食肉生産予測 |
(単位:百万トン) |
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資料:CONAB、AviSite |
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