需給動向 海外 |
◆米 国◆
飼料コスト増加などに伴い減少局面を迎える下半期の鶏肉生産 |
7月の鶏肉生産は3か月ぶりに前年割れ米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が公表した「Poultry Slaughter」によると、7月のブロイラー生産量は、1羽当たり出荷体重が前年比3.0%増の2.61キログラムとなった一方で、処理羽数が同4.7%減の696,209千羽となった結果、同1.5%減の1366千トンとなった。生産量の前年割れは3か月ぶりである。処理羽数が減少した理由としては、飼料価格が高値で推移する中、卸売価格が低調であることから、5月上旬から生産者がブロイラー向けふ卵数を抑えたことなどが挙げられる。 1〜6月までのブロイラー生産量をみると、3月を除く全ての月で前年を上回っており、上半期全体では前年同期比4.8%増の8524千トンとなっていた。しかし、同経済調査局(USDA/ERS)が8月17日に発表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、収益性の悪化などから生産抑制の動きが強まるとして、下半期の生産量は前年同期比1.5%減の8482千トンと予測されている。この見込み通り7月の生産量は前年割れとなったところであり、今後の生産は減少局面に入るものと推測される。
在庫の高水準が価格の低下要因2010年以降鶏肉生産量は増加傾向にあったことから在庫が積み上がっており、鶏肉価格の下げ要因となっている。むね肉を見ると、7月末時点の在庫は前年同月比47.0%増の65,933トンとなり、7月の卸売価格は7カ月連続で前年同月を下回る同26.7%安の1ポンド当たり118.1セント(約92円:1ドル=78円)となった。また、手羽も、7月末時点の在庫は前年同月比74.0%増の32,629トンとなり、7月の卸売価格は前年同月比22.9%安の94.02セント(約73円)となった。他方、もも肉(もも四分体)については、7月末時点の在庫は前年同月比7.0%増の57,186トンとなっているものの、低級部位への需要の高まりなどから7月の卸売価格は同17.9%高の44.11セント(約34円)となった。むね肉と手羽の価格が鶏肉全体の価格をけん引していることから、両者の価格低下により7月の生産者販売価格は前年同月比9.6%安の1ポンド当たり47セント(約37円)となっている。 USDAが鶏肉製品の買い上げを公表USDAは8月15日、在庫増と価格低下に苦しむ鶏肉生産者支援のため、栄養支援対策事業において、40百万ドル分(約3億1千100万円)の鶏肉製品を新たに買い上げる旨の発表を行った。USDAは公表に当たって「生産者は生産削減の努力をしており、今回の買い上げにより供給を需要に見合う方向へと誘導できると考えている」とコメントした。買い上げられた鶏肉製品は学校給食などに支給される予定である。全米の鶏肉生産者・加工業者で構成する全米鶏肉協議会は今回の買い上げについて、「鶏肉生産者は、景気の低迷および飼料コストの増加に苦しんでいる。今回の買い上げは在庫減につながるだろう。」と歓迎するコメントを発出している。今回の措置が需給の改善に資するかどうか、注目されるところである。
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