需給動向 海外

◆中国の畜産物需給◆

豚肉生産量増加せず、大幅輸入増で需要に応える


1.依然、6月の需給ひっ迫

 2011年の飼養頭数は、導入頭数が前年10月以降4500万頭以上と高水準であることから、5月を除き前年を上回って推移している。しかしながら、出荷頭数は、口蹄疫が流行している上、冬場には、流行性下痢(PED)や豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)などの疾病が発生したこと、さらには、価格上昇を見越した生産者の売り惜しみも見受けられたことから、2011年は一貫して前年を下回っている。

図15 豚の月別飼養頭数の推移
資料:中国農業科学院データよりコンサル作成

 このため、2011年の豚肉生産量は、2月を除き前年を下回り、特に、5月以降は前年からの減少幅が拡大している。

 一方、2011年の消費量を見ると、清明節(4月2〜5日)、労働節(4月30日〜5月2日)、端午節(6月4〜6日)と大型連休の需要が前年よりも強いなど、一貫して前年を上回って推移している。

 気温が上昇する夏季は消費が減退するため、中秋節(9月10〜12日)までは消費量は落ち着くと見込まれる。

2.小売価格1キログラム当たり30元を超える

 4月以降上昇が続き、特に6月の豚肉(赤身肉)小売価格は、2010年後半から続く需給ひっ迫に端午節の需要の高まりが重なった結果、前年同月比51.5%高の1キログラム当たり30.98元(約385円。8月末TTSレート1元=12.42円で計算。)と30元を突破する高値を記録した。

図16 豚の月別導入および出荷頭数の推移
資料:中国農業科学院データよりコンサル作成

 政府は、こうした価格高騰に対処するため、2010年12月から2011年1月にかけて備蓄在庫を放出したものの、価格上昇を抑える効果は短期的なものにとどまっている。こうした中、中国国務院は7月28日、安定的、持続的かつ健康的な豚肉生産を推進するとともに、価格を乱高下させる原因を分析し対策を講じるよう、地方政府に対する通知を発出した。この通知に基づく地方政府の価格安定対策は、飼養頭数を増加させ生産量の拡大を狙うものであることから、効果が現れるまでには時間がかかるものと見込まれる。しかし、秋には不需要期を迎える上、豚の出荷量も高値に刺激され増加するとみられるため、5月から6月ほどの急激な価格の上昇は抑制されると見込まれる。

3.冷凍豚肉、輸入量大幅に増加

 冷凍豚肉の輸入量は、旺盛な国内需要と堅調な価格を背景に、2011年1−7月期で前年同期比51.9%増の15万6千トンと大幅に増加している。国別では、2010年5月に輸入が再開された米国産が大幅に増加した一方、デンマークおよびスペインは減少している。2011年、全ての輸入取引価格が上昇し続けている中で、ドル安により米国の価格は、2011年1ー7月期平均1キログラム当たり7.6元(約94円。8月末TTSレート1元=12.42円で計算。)で最安値であったことも大幅増の要因の一つである。

図17 豚肉の月別生産量と消費量
資料:中国農業科学院
  注:枝肉ベース

 一方、豚肉の主な加工品であるソーセージの輸出量は、2008年より毎年増加していたが、2011年1-7月期では、前年同期比0.7%減の1.8万トンと前年並みであった。国別では、クレンブテロール汚染事件のあった中国産を敬遠する動きがある中で、韓国が口蹄疫により国内生産量が低下していることから、中国からの輸入量を増加させている。

図18 豚肉小売価格の推移
資料:国家発展開発委員会
  注:代表的な都市の小売市場における豚肉(赤身肉)の価格
表16 冷凍豚肉の国別輸入量
単位:トン、%
資料:GTI社「World Trade Atlas」
  注:HSコード0203
図19 冷凍豚肉の月別輸入量
資料:GTI社「World Trade Atlas」
  注:HSコード0203
表17 ソーセージの国別輸出量
単位:トン、%
資料:GTI社 「World Trade Atlas」
  注:HSコード1601
図20 ソーセージの月別輸出量
資料:GTI社 「World Trade Atlas」
  注:HSコード1601

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