需給動向 海外

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2011年上半期の豚肉輸出量、前年度から大幅増加


◇絵でみる需給動向◇


2011年上半期の輸出量は前年同期比18.8%増

 欧州委員会によると、EUにおける2011年上半期(1〜6月)の域外向け豚肉輸出量(生体、内臓などを含む)は148万4169トン(製品重量ベース、前年同期比18.8%増)と、前年同期と比べ大幅に増加した。増加の要因として、ユーロの為替レート低下により、国際市場におけるEU産豚肉の相対的な競争力が向上したことが挙げられる。

 輸出先上位10カ国をみると、ウクライナを除くすべての国で増加した。最大輸出先のロシア向けは、前年同期比7.7%増の41万2101トンとなった。同国は、2008年に発生した世界的な金融危機による景気後退からの回復に伴い豚肉消費量が増加し、輸入需要も高まっている。

 中国および韓国向け輸出は前年同期と比べ著しく増加し、それぞれ13万5929トン(同60.4%増)、11万1870トン(同114.4%増)となった。中国は消費量の拡大に国内生産が追い付かず、輸入需要が増加している。韓国については、同国の大規模な口蹄疫発生による供給不足と国内価格の高騰を受け、輸入が増加した。

 そのほかの輸出先も全体的に増加傾向となっており、香港向けは24万5187トン(同16.8%増)、日本向けは11万6971トン(同4.2%増)となった。ウクライナ向けは唯一減少し、3万9006トン(同31.2%減)となった。これは、同国が豚肉自給率の向上を目指し、増産に取り組んだ影響と考えられる。

表2 2011年上半期(1〜6月)の域外向け豚肉輸出量
(トン、製品重量ベース)
資料:欧州委員会

8月の豚枝肉卸売価格は前月を下回る

 このように、域外輸出は好調であるものの、EUにおける8月の豚枝肉卸売価格は100キログラム当たり155.73ユーロ(約17,441円、1ユーロ=112円)と、前年同月を上回ったが、前月と比べ0.8%低下した。夏場の需要期を過ぎ、域内消費量が減少したことが低下の要因と考えられる。例年、EUの豚枝肉卸売価格は夏場にピークを迎え、冬場にかけて低下する傾向にある。英国の農業・園芸開発委員会(AHDB)は、2011年においてEU加盟国の一部で冷夏となり、域内のバーベキュー需要が伸び悩んだことを値下がりの一因として指摘している。このほか、2月の民間在庫補助の発動により市場から隔離された豚肉が市場に放出され、一時的に需給が緩和したことも価格低下の要因として挙げられる。EUでは、2010年末に発生したダイオキシン汚染飼料混入問題による価格下落を受け、民間在庫補助により豚肉14万1218トンが市場から隔離された。在庫は5月以降、毎月放出され、8月の3万5297トンの放出をもって全量放出となった。

図5 EUにおける豚枝肉卸売価格の推移
資料:欧州委員会

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