1.年間需給状況
2011年の牛肉生産量は、前年比1.8%減の550万トンと、減少する見込みである。国内のと畜頭数も落ち込んでおり、政府は繁殖牛の導入促進などの補助金制度の予算額を11億9千万元(143億円)と、前年の6倍増とするなど生産者支援を強化している。しかしながら、補助金交付が著しく遅延しており、2007年以降の減少傾向の歯止めには、まだ時間を要するものとみられる。
表7 中国の牛肉需給状況 |
単位:千頭、千トン |
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資料:米国農務省(USDA)
注1:枝肉重量ベース
注2:2010年は推定値、2011年は予測値
注3:輸入量、輸出量には牛肉調製品を含まない |
国内消費は減退したものの、南米、豪州を中心に輸入牛肉の引き合いが強まっており、2011年の輸入量は10万トンと、近年で最高の水準に達すると見込まれる。
2.最近の需給状況
消費量は春節(2月)以降、下落傾向で推移したものの、清明節(4月3〜5日)や労働節(5月1〜3日)により牛肉需要が高まったことから、消費は上向いた。端午節(6月)を控え、引き続き回復基調が見込まれる。生産量は飼料費、光熱費、人件費の高騰による生産コストの増加が影響し、前年割れが続いている。月別でみると3月、5月および6月は消費量が生産量を上回っていた。
図14 牛肉の月別生産量と消費量 |
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資料:中国農業科学院 |
3.都市部における市場価格の推移
市場価格は2010年7月以降、2011年3月を除き一貫して上昇基調である。2月から3月の下降は春節後の需要量の落ち込みが主因と考えられる。4月以降の上昇基調は、毎月の祭事祝日による需要量の回復と中国人が好んで食する豚肉の価格上昇における代替需要が背景と考えられる。特に、5月から6月の上昇は、端午節前に生産者からの出荷が進んだものの、と畜業者と加工業者から小売業者への牛肉の流通が滞ったことが主因と考えられる。
図15 牛肉都市市場価格の推移 |
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資料:国家発展開発委員会 |
4.牛肉輸入および牛肉調製品輸出
冷凍牛肉の輸入量は毎年増加しており、2011年上半期についても前年同期を上回った。主な輸入先国は、ウルグアイ、豪州、ニュージーランドである。2011年はブラジル産の輸入量は前年ほど見込めず、2009年の輸入量まで落ち込むものと見込まれる。月別の輸入量をみると、2011年は、2月(前月比26%減)を除き前年を上回って推移している。
表8 冷凍牛肉の輸入量 |
単位:トン |
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資料:GTI社”World Trade Atlas” |
図16 冷凍牛肉の月別輸入量 |
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資料:GTI社”World Trade Atlas” |
牛肉調製品の輸出は堅調に推移している。主な輸出先国は日本と香港であり、韓国向けは2009年以降激減している。月別にみると、2011年は、2月(前月比1%減)を除き前年を上回っている。8月には2005年7月の人民元切り上げ以降、対ドル基準値が最高値を更新している。最近の人民元高は国際市場の中で、中国産牛肉調製品の競争力を相対的に低下させることから、輸出量の上昇幅は縮小されるものと考えられる。
表9 牛肉調製品の輸出量 |
単位:トン |
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資料:GTI社”World Trade Atlas” |
図17 牛肉調製品の月別輸出量 |
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資料:GTI社”World Trade Atlas” |
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