需給動向 国内 |
東日本大震災の影響などにより高値で推移していた鶏卵卸売価格の値下がりが続いている。 全農「畜産販売部情報」によると、鶏卵の卸売価格(東京・M玉)は、平成23年4月が前年同月比38.4%高のキログラム当たり245円だったが、5月には同19.7%高の同213円、6月が同3.8%高の同190円と値を下げ、7月には同4.0%安の同170円まで値下がりした(図8)。
鶏卵の需要は、鍋料理や洋菓子への使用が伸びる冬場に増加し、梅雨入りなどで生食を控える傾向が強まる6月以降の夏場に減少する。7月の卸売価格が前年を割り込むまで急速に値を下げたのは、こうした季節的な需要動向を反映したものといえる。 しかしながら、今年は、例年に比べて外食・加工需要の落ち込みが激しいといわれる。東日本大震災の発生によりホテル・レストラン需要が低迷したことに加え、翌4月には牛肉の集団食中毒事件が発生し、外食企業が鶏卵の利用頻度の高いユッケをメニューから外すなど、鶏卵の外食需要減少に拍車がかかった。 卸売価格は、夏休み後の手当てが始まる8月の旧盆明け頃から上向き、需要期を迎える年末にかけて上昇するのが例年のパターンであるが、今後の卸売価格の行方を供給面から見てみたい。 社団法人日本種鶏孵卵協会の「鶏ひなふ化羽数データ収集調査」によれば、採卵用めすひなのえ付け羽数は、東日本大震災の影響から平成23年3月が前年同月比7.9%減、4月が同4.7%減と前年割れが続いたが、5月は同7.9%増となった。この動きについて業界関係者は、「これまで空舎となっていた鶏舎にひなを積極的に導入する動きが出てきたため」とみている(表1)。
採卵鶏は150日齢前後で産卵を開始するといわれるので、5月の採卵用ひなえ付け羽数が前年同月を上回ったことは、秋口以降の鶏卵の供給増加を示唆しているともいえる。卸売価格は8月17日現在、ほぼ前年並みのキログラム当たり165円と一服した感がある。しかし、需要面に不透明感が漂っており、秋口の鶏卵卸売価格の動向が注目される。 |
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