2010/11年度の生乳生産量は、加工向け生産州の増産により微増
デイリー・オーストラリア(DA)によると、2010/11年度(7〜6月)の生乳生産量は、前年度比0.9%増の910万2300キロリットルと、最低の水準となった前年度からわずかに回復した。
州別にみると、ビクトリア(VIC)州では同2.1%増の591万4300キロリットル、タスマニア州では同7.1%増の72万2100キロリットル、西オーストラリア州では同3.4%増の36万2100キロリットルと、増産をけん引したのは加工原料乳生産州であった。これに対し、飲用向けの生産割合が比較的高いニューサウスウェールズ(NSW)州では同2.7%減の104万4400キロリットル、クイーンズランド(QLD)州では同8.0%減の48万6800キロリットル、南オーストラリア州では同5.5%減の57万2400キロリットルと、いずれも前年度を下回った。
2010/11年度におけるシーズン当初の生産は、比較的乾燥気候であった前年度と異なり気象条件が良好であり、2010年10月にはNSW州において、干ばつの終了が宣言された。しかしながら、その後11月から続いた大雨により、翌年1月には豪州東北部において大規模な洪水が発生し、また、翌2月にはQLD州にサイクロンが上陸した。これらの影響により、QLD州およびNSW州の生産量が一時的に前年度を下回ったが、気象害の被害が比較的少なかった主要生産地であるVIC州の増産が、他州の減産を補う形で豪州全体の生産回復に貢献することとなった。
図12 生乳生産量の推移 |
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資料:DA |
図13 州別の生乳生産量 |
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資料:DA |
2010/11年度の乳製品生産量は、前年度比2.0%増の86万トン
2010/11年度における乳製品生産量は、全粉乳が前年度比20.0%増の15万1269トン、脱脂粉乳が同17.0%増の22万2484トンといずれも大幅な増加となった。粉乳増産の背景には、アジア圏の需要増加がある。特に全粉乳は、中国からの需要増に伴い国際乳製品価格が堅調であったことから大幅増産となった。
一方、バターおよびチーズは、国際市況が堅調であったものの、収益性の高い粉乳類の生産が優先される傾向が強かったため、同5.2%減の10万83トン、同4.9%減の31万3550トンと減産になった。なお、バターについては、在庫率が低水準であったことから輸出単価は同54.9%高と、大幅な上昇になった。
表4 乳製品生産量の推移 |
(トン) |
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資料:DA |
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