需給動向 国内 |
農林水産省の「牛乳乳製品統計」によると、平成23年度第1四半期(23年4〜6月)の生乳生産量は、昨年の猛暑の影響による分娩時期の遅れや東日本大震災による影響などで、前年同期比4.5%減の191万9千トンとなった。これを生乳処理別に見ると、牛乳等向けは同1.2%減の104万6千トンとわずかな減少にとどまった。4月を見ても、前年同月比0.4%増の33万6千トンとわずかに増加し、大震災後の影響があったにもかかわらず、飲用牛乳の生産に乳業メーカーが優先的に取り組んだことが伺える。一方、乳製品向けは、前年同期比8.3%減の85万7千トンとかなりの減少となった。 また、第1四半期における生乳生産量を地域別に見ると、北海道は前年同期比1.7%減の98万8千トンにとどまったが、都府県は同7.4%減の93万2千トンとかなり減少した。このため、都府県における飲用牛乳等の供給不足を補う北海道から都府県への移出量は、生乳が同15.2%増の90,696トン、飲用牛乳等が同16.7%増の78,119キロリットルといずれも著しく増加した。 乳製品向け処理量が大幅に減少する中、第1四半期における乳製品の生産量を品目別に見ると、需要が堅調なチーズやクリームは、前年同期比4.2%増の33,796トン、同3.8%増の26,926トンといずれも前年同月をやや上回った。一方、バターは同22.0%減の16,507トン、脱脂粉乳は同17.2%減の35,674トンといずれも大幅に減少した。6月の推定期末在庫量を見ると、バターは、機構によるカレントアクセスなどにより第1四半期に6,240トンが輸入されたものの、前年同月比34.3%減の22,660トン、脱脂粉乳は同26.6%減の54,700トンと、ともに前年同月を大幅に下回った。 こうした中、大口需要者価格(消費税込み)は、バター、脱脂粉乳ともに、23年3月以降、一貫して前月を上回って推移しており、6月は、バターがキログラム当たり1,087円(図6)、脱脂粉乳が25キログラム当たり14,701円となった(図7)。また、大口需要者価格の動向と同様に、今年度は5月から実施している、機構がカレントアクセスで輸入したバターの売渡入札では、平均落札価格も5月はキログラム当たり862円、6月は同917円、7月には同1,134円まで値を上げた。このようにバターの価格は、減産に伴う在庫量の減少により値上がりしている。また、今後の生乳生産量の回復にも時間がかかるおそれがあるため、年末の需要期に向けて在庫水準が低下する可能性も否定できない。こうしたことから、機構は8月上旬、農林水産省の承認を受け、バター2,000トンを追加輸入することとした。この追加輸入については、8月中旬に入札が実施され、需要期までに需要者に引き渡される予定である。
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