需給動向 国内

◆豚 肉◆

7月の豚枝肉卸売価格、中旬にかけて急落も高水準で推移


◇絵でみる需給動向◇


 平成23年7月における豚枝肉の卸売価格(東京・大阪市場の省令規格の加重平均、以下同じ)は、前年同月比10%高のキログラム当たり538円となった。7月の価格を日別に見ると、上旬は、高温による増体の遅れで全国的に出荷頭数が減少している中にあって、需要者による手当買いから上昇し、7日には前年に比べて50円ほど高い598円となった。しかし、その後は値下がりに転じ、19日には498円の値をつけた。市場関係者によると、牛肉の放射性セシウム検出問題による食肉全体への不安感の高まりからこの時期に需要が弱まったとしている。このため、例年であれば、学校給食の終了時期に合わせて値下がりするが、今年は昨年より1週間ほど早く値下がりに転じた。しかしながらその後需要は回復し、下旬には500円台前半での推移となった(図3)。

図3 23年7月における豚枝肉卸売価格の推移(東京・大阪市場の省令規格の加重平均)
資料:農林水産省「食肉卸売市場調査」

 一方、7月の豚部分肉の価格(財団法人日本食肉流通センター、速報値)を見ると、部位ごとに特徴的な値動きとなっている(図4)。

図4 23年7月における豚部分肉価格の推移
資料:農林水産省「食肉卸売市場調査」、日本食肉流通センター「市況速報」

 低価格部位といわれる「もも」、「うで」は11日をピークに値下がりに転じている。焼き材として最需要期を迎える「ばら」も同様に値下がりし、5月の牛肉集団食中毒事件以降の外食を中心とした焼肉需要の低迷を反映する格好となった。

 これに対し、高価格部位の「ヒレ」、「ロース」、「かたロース」は、「もも」や「うで」に比べやや遅れて、14日以降値下がりが顕著となり、その後はやや持ち直した。当機構が実施している豚肉輸入動向検討委員会によると、7月中旬現在、「ロース」や「かたロース」といった高価格部位は国産・輸入ともに引き合いが弱く、安値による投げ売りが見受けられるとしている。

 このように、豚枝肉相場は全国的な出荷頭数の減少に伴い、前年よりも高値で推移する一方、部分肉相場は高価格部位の荷動きが芳しくない状態が続いており、低価格部位も焼き材を中心に需要が盛り上がりに欠けている。これらのことから、安価な輸入豚肉にシフトすることも考えられるため、今後の枝肉相場の動向が注目される。



元のページに戻る