需給動向 海外

◆豪 州◆

日本、韓国向け輸出は低調な滑り出し


◇絵でみる需給動向◇


EYCI価格は年明け以降、軟化傾向

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)の公表による肉牛取引の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格をみると、2011年第4四半期の平均価格は、キログラム当たり403.15豪セント(360円:1豪ドル=89円)と、同期の過去5年平均(319.10豪セント:285円)を大幅に上回る歴史的な高水準で推移した。これは、牧草の生育が良いなど飼養環境が良好であったため牧草肥育業者からの引き合いが強まったことや、2011年後半の輸出需要増を反映したものである。

 年明けは、同415.25豪セント(370円)で取引開始以降、豪ドル高が響き日本や韓国などで輸出需要が停滞し、EYCI価格は下落傾向で推移した。2月には、クイーンズラ日本、韓国向け輸出は低調な滑り出し豪 州ンド(QLD)州南西部からニューサウスウェールズ州(NSW)北部にかけての地域で洪水が発生。この影響で肉牛供給減少を招き、一時は値をやや上げたものの、日本や韓国向けの輸出需要の低下が相殺し、EYCI価格は下落となった。2月下旬には同381.75豪セント(340円)まで値を下げた。

 3月に入ると、EYCI価格は一転して上昇に転じ、3月16日現在では392.5豪セント(349円)となっている。2月末から3月初旬にかけて、NSW州やビクトリア(VIC)州、南オーストラリア(SA)州、北部準州(NT)など広い地域で激しい降雨があり、NSW州南部やVIC州北部では洪水となった。この影響により、肉牛供給不足が懸念され、価格は上昇に転じた。

図1 EYCI価格の推移
資料:MLA 
 注:年度は7月〜翌6月。

1〜2月の輸出量、日本と韓国向けは減少、米国向けは大幅増

 2012年1〜2月の輸出量は前年同期比6.1%増の12万5872トンとなった。

 輸出国別では、日本4万255トン(同14.0%減)、次いで米国3万5113トン(同78.8%増)、韓国1万6278トン(同29.2%減)であった。

 日本向けの減少は、豪ドル高と米国産との競合が影響している。また、韓国向けの減少は、同国内における高い在庫率に加え、豪ドル高も影響した。一方、米国向けについては、前年同期の輸出量が例年よりも低い水準であったことを差し引いても大幅に増加している。これは、米国内で昨年、干ばつの影響から多くの雌牛がと畜されたため、現在、と畜頭数が減少しており、加工用牛肉の輸入需要が増加したためとみられる。

図2 牛肉輸出量(1〜2月)の変化
資料:豪州農漁林業省(DAFF)

元のページに戻る