需給動向 海外

◆ウルグアイ◆

2011年の牛肉輸出は金額ベースで増加


数量で前年比7.2%減も、金額で18.9%増

 ウルグアイ牛肉協会(INAC)によると、世界第7位の牛肉輸出国である同国の2011年の牛肉輸出(枝肉ベース、牛肉製品を含む)は、数量で前年比7.2%減の約34万トンとなった。しかし、世界的に牛肉需要の増加が続く中で、輸出単価が上昇したことから、金額は同18.9%増の約13億4400万ドル(約1061億7600万円、1ドル≒79円)となった。

 これは、最近、220万頭前後で推移していた牛と畜頭数について、2011年は約201万頭と、減少(前年比8.8%減)となった影響が大きい。減少の原因は、2008〜09年の熱波による影響で、繁殖雌牛の受胎率が50%程度(例年60〜70%)となったことにある。

 なお、政府が鶏肉・豚肉の消費促進に力を入れていることなどから、2011年に1人当たり58キログラムであった同国の牛肉消費量は今後、同55キログラム程度まで減少するものとみられる。この結果、全体では約1万トンの輸出余力が生じるものと見込まれる。

図3 と畜頭数の推移
資料:ウルグアイ牛肉協会(INAC)
図4 牛肉輸出の推移
資料:INAC 
注:枝肉ベース、牛肉製品を含む

 

個体識別制度などにより各輸出先の数量回復が目標

 INACによると、ウルグアイ政府は今後の牛肉輸出促進策として、全頭を対象とした個体識別制度の確立と、品種改良の推進などによる牛肉の品質向上などを挙げた。それにより、輸出額の50%以上を占めるEU・ロシアも含め80カ国以上ある輸出先の信頼をより確保し、数量を回復したいとのことであった。中期的な輸出数値目標としては、2004年の実績である40万トン程度としている。

 また、日本・韓国も将来的な輸出市場として挙げている。現在、対日向け輸出は、加熱処理肉に限られ、認定工場は5カ所のみである。しかし、新たに大手牛肉パッカーのマルフリグ社(ブラジル資本)の1工場が、日本向けにビーフジャーキーを輸出する準備を進めている。同社によると、2006年に設置されたジャーキーの製造能力は、国内向けも含め1月当たり最大で85トンである。

 ただ、現在のところ、ウルグアイの対日向け加熱処理肉輸出は、価格面で折り合わないことなどから、実績はわずかに留まっている。なお、2011年のビーフジャーキーなど牛肉製品の輸出量は、主に米国やEU向けに前年比7.5%増の1万8000トンとなった。

表1 国別輸出量・輸出額
資料:INAC
注:枝肉べース、牛肉製品を含む

中長期的にはフィードロット肥育による集約的肉用牛生産も検討

 ウルグアイは、国土面積約18万平方キロメートルと南米では最も面積が小さく、農用地は14万平方キロメートル(2009年現在)である。飼養頭数は、7割を占めるヘレフォード種など約1100万頭である。放牧地(羊との複合経営を含む)は、農用地の95%近くを占める13万2000平方キロメートルである。

 ウルグアイは牛肉輸出の回復を目指す一方、輸出が好調な大豆など農作物の作付面積なども拡大している。農作物の作付面積の増加が強まれば、放牧地は中長期的に減少し、牛肉生産に影響が出る可能性がある。牛肉生産の拡大を図るためには、冬季を中心(3〜10月)に行われているフィードロット肥育による集約的な肉用牛生産の定着が必要と考えられる。


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