1.牛乳生産は2年連続で増加
2008年メラミン混入事件以降落ち込んだ牛乳生産量は、2011年に前年比13.1%増の1452万トンと、2008年の水準には回復していないものの、2年連続で大きく増加した。しかし、2011年12月には、中国の大手乳業メーカーが製造した牛乳から規定値を超えるカビ毒(アフラトキシン)が検出された。メラミン事件の影響が和らぎ、牛乳の消費が回復してきただけに、再度、牛乳・乳製品の安全性を損なったことは、今後の需給動向に大きな影響を与えそうである。
2011年の乳製品生産量は、前年比3%減の309万トンとやや減少した。乳製品の消費支出は増加傾向にあり、高価格帯の製品の消費にシフトしているものとみられる。
図13 牛乳と乳製品の月別生産量の推移 |
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資料:機構調べ |
図14 生乳の生産者販売価格の推移 |
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資料:機構調べ |
2.2011年生乳価格はほぼ横ばい
2011年の生乳価格は、キログラム当たり3.18〜3.24元(約42円〜43円、1元=13.21円 2月末TTSレート)と安定して推移した。12月をみると、同3.24元と2011年の最高価格であった。生乳価格が高水準で推移していることから、今後、各メーカーとも牛乳・乳製品の価格の引き上げが想定されるが、市場はメーカー間の競争が激しいため、値上げの幅は小さいものとみられる。 3.2011年粉乳輸入量は大幅増加
2011年の粉乳輸入量は、脱脂粉乳が前年比46.7%増の13.0万トンと大幅に増加し、全脂粉乳は同1.8%減の32.0万トンと微減した。2011年も高い内需を背景に、外国産粉乳の輸入需要は堅調に推移するものと考えられる。この需要に応えるのは、FTAを結んだニュージーランドで、低関税の恩恵で2012年以降も高いシェアを有するとみられる。
2011年のバター輸入量は、同23.2%増の1.8万トン、ホエイ輸入量は、同30.0%増の34.2万トンといずれも大幅に増加した。中国でも洋食化がすすんでいることから、当面、バターの輸入は増加するものとみられる。
表16 脱脂粉乳の国別輸入量 |
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資料:GTI社 "Global Trade Atlas"
注:HSコード040210 |
表17 全脂粉乳の国別輸入量 |
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資料:GTI社 "Global Trade Atlas"
注:HSコード040221,29 |
表18 バターの国別輸入量 |
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資料:GTI社 "Global Trade Atlas"
注:HSコード040510 |
表19 ホエイの輸入 |
(単位:トン、%) |
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資料:GTI社 "Global Trade Atlas"
注:HSコード040410 |
図15 乳製品の月別輸入量と粉乳類輸入単価の推移 |
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資料:GTI社 ”World Trade Atlas”
注:粉乳類とはHSコード0402をさす |
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