需給動向 国内

◆鶏 卵◆

2月の鶏卵卸売価格、保合い状況続く(東京、M玉)


◇絵でみる需給動向◇


 全農「畜産販売部情報」によると、鶏卵の卸売価格(東京・M玉)は1月12日にキログラム当たり120円から10円値を上げ130円となった以降は続伸し、1月31日には185円まで上昇したが、2月は月末まで保合いの状況が続いた。

 2月の需要面では寒波の到来により鍋物料理など一定の季節的な需要があったと思われる。供給面では、年末年始の滞貸玉を軽減させるため、鶏卵生産者は強制換羽により産卵を一時抑制するなど生産調整を行っていた。鶏卵関係者によれば、産卵を抑制していたこれらの採卵鶏が2月に入ると産卵を回復してきたと聞く。しかしながら、鶏卵相場を下げるほどの生産量の増加には至らなかったと思われ、需給のバランスが均衡した状態で月末まで推移した形となった。なお、3月は12日に10円値を下げ、175円となっている(3月16日現在、図7)

図7 23年度鶏卵卸売価格の推移(東京、М玉)
資料:全農「畜産販売部情報」

  今後の需給動向については、春は採卵鶏の産卵が旺盛になる季節でもあるため、3月から4月にかけて鶏卵の生産量は増加傾向で推移すると思われる。需要面では、気温が温かくなるにつれ、鍋物料理向けなどの鶏卵消費が減少することや3月後半には学校給食が中断することなどから、3月以降の卸売価格は例年どおり軟調に推移するものと予測される。

 一方、東日本大震災後の23年4月以降、加工メーカーが原材料の安定した調達を確保するため、増加傾向にあった殻付き卵との加工卵(粉卵及び凍結液卵)の輸入については、1月の殻付き卵の輸入量は大幅に減少し、一時の増加傾向から一転したように見える。しかしながら、加工卵の輸入量は依然としての増加傾向が続いており、1月は2,353トン(前年同月比20.8%増)と大幅な増加となっており、引き続き国産鶏卵の加工仕向けに与える影響が懸念される(図7)。

図8 殻付き卵及び加工卵の輸入量の推移
資料:財務省「貿易統計」

 なお、国が実施する「鶏卵生産者経営安定対策事業」の価格差補てん事業(社団法人日本養鶏協会が事業実施主体)では、1月に引き続き2月も鶏卵標準取引価格が補てん基準価格を下回ったことから、2カ月連続の発動となった。2月の標準取引価格は178.44円であったことから、キログラム当たり4.104円((183円−178.44円)×0.9)が補てんされることとなる。


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