需給動向 海外

◆飼 料◆

トウモロコシは飼料向けが増加、大豆は南米の高温・乾燥気象による減産で、世界の期末在庫は減少


◇絵でみる需給動向◇


 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は3月9日、2011/12穀物年度(2011年9月〜2012年8月)3月の世界主要農作物月次需給見通しを公表した。USDA/WAOBは世界のトウモロコシ生産量を8億6496万トン(85万トン増)、期末在庫を1億2453万トン(82万トン減)とした。また、大豆の生産量については2億4507万トン(640万トン減)、期末在庫は5730万トン(298万トン減)とした

トウモロコシ、ブラジルおよびインドが生産量を計150万トン上方修正

 世界のトウモロコシ生産をみると、ブラジルにおいて大豆収穫後の二毛作で生産面積拡大が見込まれることから、生産量が前月から100万トン増、インドも50万トン増と上昇修正された。一方、南アフリカでは作付面積は拡大するも、降水不足と平年を上回る気温から単収が減少し、生産量は50万トン減、エクアドルでは多雨による作付面積と単収の減少から生産量が30万トン減少し、全体では、85万トン増の8億6496万トンとなった。

 輸入については、EUの50万トン増、旧ソ連の2万トン増(うち、ウクライナ2万トン増)の他、エクアドル、ペルーでも増加しており、マレーシアなど東南アジアの30万トン減を相殺し、全体では61万トン増加の9345万トンに上方修正された。また、輸出については、生産量を増やしたブラジルの100万トン増の他、インドでも増加し、全体では122万トン増の9615万トンに上方修正された。

 消費については、EUで小麦価格の上昇に伴う飼料原料小麦の代替として飼料向けが増加、この他、インドや南アフリカでも飼料向けが増加した一方、マレーシアなど東南アジアで減少したものの、全体では190万トンの上方修正となった。

 なお、トウモロコシの期末在庫は、供給量の増加以上に消費量が増加したことから82万トン下方修正されて、在庫率は13.0%から12.9%とわずかではあるが2カ月連続で減少した。

表14 世界の主要飼料穀物の需給見通し(2012年3月9日米国農務省公表)
資料:USDA/WAOB「World Agricultural Supply and Demand Estimates」
注:年度は、世界各国の穀物年度の単純合計
表15 世界の主要飼料穀物の国別需給見通し(2012年3月9日米国農務省公表)
資料:USDA/WAOB「World Agricultural Supply and Demand Estimates」
注:年度は、世界各国の穀物年度の単純合計

大豆、南米の生産量減少により期末在庫を298万トン下方修正

世界の大豆生産量については、主に南米の減産で640万トン下方修正し、2億4507万トンとなった。ブラジルの生産量は、高温・乾燥気象により350万トン減の6850万トンとなり、アルゼンチンでも前月の下方修正に続き150万トン減の4650万トンとなった。また、パラグアイも、過去25年間で最も少ない水準の降雨による干ばつに見舞われ、140万トン減の500万トンとなった。

輸入については、中国およびEUが共に50万トンずつ減少した他、日本で15万トン減、インドネシア、韓国、台湾でも減少し、全体では150万トン減少の8926万トンとなった。輸出は、減産となったブラジルが90万トン減の他、パラグアイも減少し、全体では190万トン減の9089万トンとなった。

 なお、大豆の期末在庫は、消費量の減少以上に生産量が減少したことから298万トン下方修正されて、在庫率は17.2%から16.6%へと3ヶ月連続で減少した。


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