需給動向 海外

◆豪 州◆

2011/12年度の生乳生産量、940〜950万キロリットルへ上方修正


◇絵でみる需給動向◇


飼料穀物価格安が増産を後押し

 デイリー・オーストラリア(DA)は2月、豪州の乳製品需給見通しを公表した。これによると、2011/12年度(7〜翌6月)の生乳生産量は、940〜950万キロリットル(前年度比3〜4%増)と見込まれ、前回予測(2011年9月)から20万キロリットルほど上方修正された。上方修正の背景には、降水量に恵まれたことによって牧草の生育が良好なこと、飼料穀物価格が記録的な増産によって前年を下回っていることが挙げられる。2011/12年度の穀物生産については、品質が降雨によって低下したことや土壌中の窒素量が低下していることから、例年よりも飼料向けの割合が増加している。ビクトリア州の飼料穀物価格(2012年1月)は、小麦がトン当たり195豪ドル(1万7355円:1豪ドル=89円)、大麦が同190豪ドル(1万6910円)と、前年の10〜12月の平均価格を30〜35豪ドル(2,670〜3,115円)下回った。

 また、豪州南部の年度平均乳価についてDAは、乳固形分1キログラム当たり5.20豪ドル〜5.30豪ドル(463〜472円)と、前回調査から10セント(9円)程上方修正した。これは、ニュージーランド(前年度比8〜10%増)やEU(同1%増)など主要輸出国の生乳生産量は増加するものの、需要面では中国、中東、東南アジアからの引き合いが依然として強まるとの予測に基づいている。DAは、中国の2012年における全粉乳輸入量は前年を7%上回ると予測している。

図10 乳製品輸出量(1〜12月)
資料:GTI「Global Trade Atlas」 
注:全粉乳はHSコード040221および040229の合計値、チーズは0406の値、バターは040510および040590の合計値、
脱脂粉乳は040210の値

2011年の全粉乳輸出量、前年比1.5%増にとどまる

 2011年の乳製品輸出量は、バターを除いて前年を上回ることとなった。

 チーズは、最大の輸出先である日本向けが前年を7.6%上回った(9万1479トン)ことなどから、前年比4.9%増の16万7669トンとやや増加した。

 脱脂粉乳は、同6.3%増の14万358トンとなった。これは、主要輸出先であるインドネシア向け(同34.6%増の2万4182トン)、シンガポール向け(同18.7%増の1万7192トン)が、いずれも大幅に増加したためである。一方で、タイ向けは、洪水の影響で港湾の機能が停止したことから、同12.0%減の9611トンとかなり減少した。

 全粉乳は、シンガポール向けが増加したものの、中国向けが減少したことなどから、同1.5%増の11万6241トンと、わずかな増加にとどまった。中国向けは前年から6割減(6,710トン)と、中国とFTAを締結しているニュージーランドとの競合が影響しているとみられる。

 2012年の輸出量については、上述したように国内生乳生産が増加する見通しであることから、堅調に推移するとみられる。豪州の国内市場は成熟しており消費量の大きな伸びは見込まれない。生乳の増産は、輸出に振り向けられるだろう。


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