需給動向 海外

◆インド◆

2012年の生乳生産量は前年を上回る見込み


第1四半期の生乳生産量は前年同期比増

 インド農業省畜産酪農・漁業局によると、2011年第4四半期の生乳生産量は、モンスーン期後半の多雨により牧草の生育状況が良好であったことから、前年同期比1.5%増の4366万トンとなった。政府は、2012年の生産量を1億1800万トンと生産目標を掲げている。

 2012年第四半期は同5.0%増の3098万トンとみられ、通年では生産者の収益の向上が見込まれることから、2010年に比べ6〜7%増となり、政府目標を達成するものとみられ、1億2300万〜1億2400万トンと見込まれる。

表11 生乳生産量と用途別処理量
(単位:千トン)
資料:食品産業省他、機構調べ 
注:2011年および2012年第1四半期は予測値

生乳価格は下落基調

2011年上半期の生乳価格は、主要生産地の降雨不足により牧草の生育不良や飼料価格の上昇などの影響により、前年を大幅に上回って推移した。下半期は、大豆や油糧種子、とうもろこしなど飼料作物の単収増加による飼料価格の安定や生乳生産量の増加により、9月以降低下局面にある。それにもかかわらず、2011年の生乳価格はキログラム当たり188ルピー(無脂固形分換算、約340円:1 ルピー=1.81円)と、2010年より43ルピー(77円)高、5年平均価格より62ルピー(112円)高と、例年より高い水準となった。

 2012年以降は、1月の価格は前年を14.7%上回るものの、前月比では1.6%安の179ルピー(324円)、2月も前月からは5.6%安の同169.0ルピー(305円)となった。第1四半期は、良好な牧草の生育や飼料価格が安定するため、生乳価格は下落基調で推移すると見込まれる。

図11 生乳価格の年間平均の推移
資料:インド乳業協会、機構調べ
注:生乳価格は無脂固形物(SNF)換算
図12 生乳および脱脂粉乳、バターの価格動向
(単位:千トン)
資料:インド乳業協会、機構調べ 
注1:生乳価格は無脂固形物(SNF)換算
2:生乳は生産者販売価格、それ以外は卸売価格

2011年4〜6月の粉乳輸入量は前年同期比18.2%増

 インドの乳製品輸入量は、消費量の増加に伴なって2009年末以降、増加傾向で推移している。政府は2011年2月24日、夏季の生乳生産低下による脱脂粉乳不足を見越し、粉乳3万トン、バター1万5千トンの無税輸入枠を設定した。

 2011年4〜6月の粉乳輸入量は前年同期比18.2%増の7,453トンとなった。国別に見ると、最も伸びが大きいのは豪州で前年から2倍(3,119トン)となり、次に中国(520トン)となった一方で、豪州に次ぐシェアを占めるニュージーランドは同51.0%減(2,573トン)と前年を下回った。

 政府は2011年12月26日、1月から停止している中国からの生乳・乳製品の輸入停止を6カ月延長すると発表した。今回も国内需要が増加傾向で推移するため、他国への輸入シフトが増加すると見込まれる。

表12 脱脂粉乳の輸入量の推移
(単位:トン、10万ルピー)
資料:商工省商務局外国貿易部
注:年度は4月〜翌3月
表13 バターの輸出入量の推移
(単位:トン、10万ルピー)
資料:商工省商務局外国貿易部

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