2011/12年度輸出量は米国や新興市場で増加
豪州農漁林業省(DAFF)によると、2012年6月の牛肉輸出量(子牛肉含む。船積み重量ベース)は8万1586トン(前年同月比5.1%減)となった。このうち日本向けが3万315トン(同4.1%減)、米国向けが1万7342トン(同0.8%増)、韓国向けが8,888トン(同22.0%減)となっている。
この結果、2011/12年度(7月〜翌6月)の牛肉輸出量は94万8283トン(前年度比1.2%増)であり、2001/02年度以降では3番目に高い記録となった。
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、輸出市場の多くで欧州の経済不安による牛肉消費の低下の影響がみられたほか、高値で推移した対米ドル為替レート(同年度の平均は1豪ドル当たり1.036米ドル、前年度比3.7%高)の影響から、国際市場で価格競争力が低下した。
特に、日本向けでは牛肉消費の低迷に加え、チルドやグレインフェッドなど高価格帯を中心に米国産牛肉との競合が強まったことから、32万5846トン(同7.3%減)となった。
韓国向けは、国内生産の増加や米国産との競合を背景に、8万6837トン(同11.8%減)となった。
ほかに減少したのは、ロシア向け4万6676トン(同34.6%減)、インドネシア向け3万7851トン(同16.0%減)などである。ロシア向けは、輸入牛肉への需要が低下したこと、米国向けと競合するアイテムの価格が米国からの強い引き合いによって上昇したことなどが減少につながった。インドネシア向けは、政府による輸入許可数量の減少が影響した。
輸出をけん引したのは、米国向けである。米国国内生産の減少を背景に、豪州産加工用牛肉への需要が高まり、20万5210トン(同28.3%増)となった。また、台湾向け3万7823トン(同20.1%増)、シンガポール向け1万1800トン(同42.9%増)、香港向け9,576トン(同66.3%増)、中国向け7,736トン(同7.9%増)などでは、これまでの記録を更新している。
主要輸出先(日本、米国、韓国)以外のシェアは拡大傾向にあり、2011/12年度は前年度から0.5ポイント増の31.1%となった。
図1 牛肉輸出量(月別)と増減率の推移 |
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資料:DAFF「Red Meat Export Statistics」
注:子牛肉含む、船積み重量ベース |
図2 牛肉輸出量(年度別)の推移 |
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資料:DAFF「Red Meat Export Statistics」
注:子牛肉含む、船積み重量ベース |
2012/13年度はと畜頭数、生産量、輸出量ともに増加の見込み
豪州農業資源経済局(ABARES)は6月、四半期ごとの農産物需給予測を公表した。これによると、2012/13度のと畜頭数は807万頭(前年度比2.3%増)と、1988/89年度以来の最低水準となった前年度からわずかながらも増加が見込まれる。
牛肉生産量は219万トン(同3.3%増)と見込まれ、と畜頭数よりも増加率が大きい。これは、牧草の良好な生育により肉牛の増体がよいことや、米国からの加工用牛肉需要が堅調なことから、月齢の高い肉牛のと畜増が見込まれることによる。
牛肉輸出量は97万トン(同2.3%増)と見込まれる。輸出先別では、2011/12年度と同様、米国向けや台湾向け、中東向けなどが増加する一方、 日本向けや韓国向けの減少が見込まれている。
表1 牛肉生産関連指標の推移 |
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資料:ABARES(2012年6月公表)
注1:肉牛飼養頭数は6月末時点
注2:2011/12年度の牛肉輸出量は実績値 |
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