平成24年5月末の鶏肉推定期末在庫量(機構調べ)は、供給が過剰気味の中、前月より積み増しが進み、この在庫過剰の影響などから6月の国産鶏肉の相場は引き続き低迷している。
5月のブラジル産輸入量がかなりの程度増加
平成24年5月の国内の鶏肉生産量(機構推計)は、12万4千トン(前年同月比12.3%増)と5カ月連続で前年同月を10%以上上回って推移している。また、財務省「貿易統計」によると、平成24年5月の鶏肉輸入量は、4万3千トン(同0.2%減)と東日本大震災の影響で輸入品が急増した前年並みの多さとなった。通常、輸入量の約9割を占めるブラジル産が、当月は4万トン(同6.2%増)とかなりの程度増加している。これは、ブラジル産の現地価格が下がったことによるものと関係者はみている。
一方、鶏肉調製品の輸入量も3万7千トン(同4.0%増)と、東日本大震災以降、おおむね前年同月を上回って推移している。
この結果、平成24年5月末の鶏肉の推定期末在庫量は、輸入品は11万5千トン(同24.7%増)、国産品は4万トン(同73.3%増)といずれも積み増されたことから、全体では15万5千トン(同34.5%増)と依然として高い水準にある(図5)。
図5 鶏肉・鶏肉調製品輸入量、生産量及び在庫量の推移 |
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資料:財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ、農林水産省「食鳥流通統計」 |
6月の国産鶏肉の卸売価格、依然として低迷
農林水産省「食鳥市況情報」によると、平成24年6月の鶏肉卸売価格(東京)は、キログラム当たりもも肉は564円(同14.4%安)、むね肉は175円(同34.3%安)となり、平成23年11月以降前年同月を下回って推移している。むね肉の価格がかなり低下したことで加工向け(肉団子等)の需要が高まったとの話もあるが、両者ともに低迷している状況である。今後、国産鶏肉の卸売価格が上昇に向かうためにも、高い水準にある国産品在庫量の取り崩しが進むことを期待したい。
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