鶏卵卸売価格(東京・M玉)は、5月21日以降、前年同期を2割程度下回る160円の保合が続いていたが、6月26日に165円と5円上げた(図8)。鶏卵関係者によると、6月は量販店における販売促進活動が奏功し、需要が好調であったことが価格回復の一因となったようである。
図8 鶏卵卸売価格の推移(東京、М玉) |
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資料:全農「畜産販売部情報」
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また、6月の入荷量が8,149トンと、東日本大震災の影響により低い水準であった昨年の実績をさらに3.2%下回ったことも、相場を押し上げた要因と考えられる(図9)。この入荷量減少の要因の一つは、5月21日から成鶏更新・空舎延長事業が発動されたことであるが、事業発動と同時に老鶏の淘汰が進み、老鶏から多く生産されるL玉やLL玉といったいわゆる大玉の生産量が減少した。大玉は主として加工卵に仕向けられるため、品薄感から加工メーカーによる手当てが入り、このこともM玉を含めた鶏卵全体の価格上昇につながったとみられる。
図9 鶏卵入荷量の推移(東京) |
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資料:全農「畜産販売部情報」
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今後も成鶏更新・空舎延長事業の効果に期待
例年、夏場は食欲減退や食中毒予防といった理由から需要が低下するため、鶏卵卸売価格は下落する傾向にある。しかし、今年は成鶏更新・空舎延長事業が7月13日現在も継続して発動されており、引き続き生産が抑制されると見込まれるため、今後は例年よりも需給が締まる可能性がある。これにより、鶏卵相場の下押しが回避されることを期待したい。
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