全国農業協同組合連合会(全農)は6月15日、平成24年7〜9月期の配合飼料供給価格を発表した。前期(平成24年4〜6月期)と比較して、全国全畜種総平均でトン当たり約900円の値上げとなり、2期続けての引き上げとなった。このほか、主な商系飼料メーカー及び専門農協も配合飼料供給価格を改定し、約840円〜1,080円値上げした。
全農をはじめ飼料メーカーが、今回の価格改定に当たり公表している飼料穀物情勢は次のとおりである。
1 飼料穀物(トウモロコシ)
(1)11/12年度産トウモロコシは、生産量が少ない中、端境期に向かい需給がひっ迫する
との見方がある。
(2)一方、12/13年度産は、作付面積拡大による豊作予測により需給が緩和する可能性
があり、この2つが最近の取引材料となってきた。
(3)今後は、12/13年度産の豊作が見込まれる一方で、エタノール需要や輸出需要が堅
調であり、シカゴ定期は底堅く推移することが見込まれる。
(4)しかしながら、最近の天候が高温・少雨傾向となっていることから、夏場の受粉期の
天候次第では、生育への悪影響が懸念されており、今後の価格動向には注意を要
する。
2 大豆粕
(1)南米では、天候が高温・乾燥で推移したことにより、大豆が大幅な減産となる見通
し。
(2)また、中国が米国産大豆の輸入を増加させており、米国産大豆の需給ひっ迫予測を
後押しする要因となっている。
(3)今後も中国の需要は旺盛である一方、生産量の増加は見込めないことから、相場は
堅調に推移し、国内大豆粕価格もシカゴ定期の高騰により、大幅な値上がりが見込
まれる。
3 海上運賃
今後は、新造船の竣工により船腹需給が緩和する一方、燃料価格が高止まりしていることから、海上運賃は底堅く推移すると見込まれる。
4 外国為替
米国の景気回復には時間を要すると予想される一方、日本も景気回復への不透明感があることから、一進一退の相場展開が見込まれる。
図10 配合飼料供給価格増減の推移(全農) |
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資料:全農
注:価格は、平成21年1〜3月期を起点とした全国全畜種総平均トン当たりの増減額
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図11 トウモロコシ、大豆ミールのシカゴ定期相場の推移 |
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資料:日本経済新聞
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トウモロコシの作付面積は1937年以降最大も、高温・乾燥気候が大きな懸念材料に
こうした中、米国農務省(USDA)は6月29日、主要穀物の作付状況を公表した。トウモロコシの作付面積は、9641万エーカー(対前年比4.9%増)で1937年以降最大となった。また、作付のペースはこれまでで最も早く、5月20日現在で96%の作付が行われ、6月3日現在ですべて発芽した。大豆については、7608万エーカー(同1.5%増)と過去3番目に大きな作付面積となった。例年より作付ペースが速く、6月3日現在で94%の作付が行われ、79%が発芽した。
また、USDAは同日、四半期ごとの主要穀物の在庫状況を公表した。6月1日現在のトウモロコシの在庫数量は、31億4654万ブッシェルで前年同期比14.4%減となった。大豆については、6億6748ブッシェルで同7.8%増となった。ただし、これらの公表が市場に及ぼす影響は大きくなかった。
一方、米国では、高温・乾燥気候による作物への影響の懸念が急速に拡大している。現在、トウモロコシの生育は、受粉期(例年6月後半から8月前半)を迎えており、この時期の気象条件が生産量に及ぼす影響は大きい。USDAが毎週公表している作物の生育状況報告(18州の生育状況)によると、直近(2012年7月15日現在)のトウモロコシの生育状況は、作付の38%が「劣る」または「非常に劣る」で、前週より8ポイント、前々週より16ポイント増加しており、6月中旬以降、急速に生育状況が悪化している。また、こういった状況を反映して、シカゴ定期は相場が急騰している。
米国農務省世界農業観測ボード(USAD/WAOB)が7月11日に公表した穀物需給予測によると、高温・乾燥気候を反映して、米国のトウモロコシ生産予測を前回公表(6月12日)より12.3%減の129億7000万ブッシェルに下方修正した。
図12 米国産トウモロコシの生育状況 |
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資料:USDA |
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