生乳生産量は05/06年度来の高水準に
豪州農業資源経済科学局(ABARES)によると、2012/13年度(7月〜翌6月)の生乳生産量は、2005/06年度以来の高水準となる960万キロリットル(前年度比1.5%増)と予測される。
増産の要因は、ビクトリア州北部やニューサウスウェールズ州南部において、かんがい用水の利用可能量が増加すると見込まれるためである。2012年6月現在、マレーダーリング川流域におけるダム貯水率は90%となっており、2010年の25%を大幅に上回っている。また、こうした状況を受け、雌牛の保留が進むとともに淘汰される頭数も減少しており、経産牛飼養頭数は、前年度比1.7%増の165万頭と増加が予測される。
輸出額は国際価格軟化で減少の予測
2012/13年度の乳製品生産量については、生乳の増産を受けて、脱脂粉乳以外は前年度を上回る見通しである。全粉乳については、中国、インドネシア、フィリピンなどの需要の伸びを背景に、前年度比4.2%増の15万トン、チーズについては、日本およびロシア向けの増加で同3.4%増の36万4千トンと予測される。
一方で、ABARESは、乳製品の国際価格について、NZ、EU、2012/13年度の米国など主要供給国の増産によって需給が緩和し、軟化傾向で推移すると予測している。そのため、乳製品輸出額は、21億9500万豪ドル(約1800億円、1豪ドル=82円、6月末日TTS相場)と前年度を4.2%下回る予測となっている。
表5 乳牛飼養頭数および生産量の推移 |
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資料:ABARES
注:2011/12年度および2012/13年度は予測値 |
国際価格の軟化が乳価にも影響
国際価格の軟化による影響は、各乳業会社が公表している初期乳価(新年度開始となる7月に公表される乳価)に表れている。各社の初期乳価を見ると、大手のマレーゴールバン社は、乳固形分1キログラム当たり4.50豪ドル(369円)と、前年度(4.92豪ドル)から8.5%安となった。このほか、ワーナンブールチーズアンドバター社やベガチーズ社も、前年度比7.5〜8%安の水準に設定している。
なお、2012/13年度の通年での乳価についてABARESは、前年度比9.8%安のリットル当たり37豪セントと、やはり前年度を1割ほど下回ると予測している。
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