需給動向 海外

◆米 国◆

堅調な輸出を受け、子取用めす豚頭数は6四半期連続で前年を上回る


◇絵でみる需給動向◇


繁殖母豚、肥育豚ともに前年を上回る

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が6月29日に公表した「Quarterly Hogs and Pigs」によると、本年6月1日現在の豚総飼養頭数は前年を0.8%上回る6582万9千頭となった。内訳は、子取用めす豚頭数が前年比1.0%増の586万2千頭、肥育豚が同0.8%増の5996万7千頭であった。子取用めす豚頭数は2011年3月から6四半期連続、肥育豚は2010年12月から7四半期連続で前年を上回った。

 2012年1〜4月の豚肉輸出量は、前年同期比13.5%増の85万9千トンとかなり大きく増加しており、輸出が堅調であったことが子取用めす豚の増頭に影響したものと考えられる。輸出相手国別では、中国、メキシコ、ロシア向けの輸出が大幅に増加した。中国は4月、前年に比べ3倍近い量の豚肉を輸入したことにより、前年同期比142.3%増となった。また、メキシコは過去70年間で最悪の干ばつによる飼料穀物価格の高騰で生産費が上昇しており、継続的な輸入需要がある。ロシアの輸入需要が堅調なのは、ブラジルとの貿易摩擦による米国産豚肉へのシフトが原因であるものとみられる。

 また、今年は暖冬の影響でトウモロコシの作付が例年より早く進んだことから、6月上旬までは作付面積および単収は高水準で推移することが見込まれており、飼料費の低下による収益性の向上が見込まれたことも、今回の公表において繁殖用仕向け頭数が増加している要因とみられる。

表4 豚飼養頭数の推移
資料:USDA/NASS 「Quartely Hogs and Pigs」
 注:各年6月1日時点

肥育豚価格は下落傾向で推移

 母豚分娩頭数および見込み頭数は、産子の出荷が2012年内と見込まれる昨年12月〜今年5月分の分娩頭数が前年比0.6%増とわずかに増加しており、近年増加傾向にある枝肉重量も相まって、2012年の豚肉生産量は前年を上回って推移する見込みである。

 しかしながら、2012年の肥育豚価格は前年に比べ下落傾向で推移しており、今後の飼料価格の動向によっては、生産抑制につながることが懸念される。米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2012年第1四半期の肥育豚価格(全米平均、赤身率51〜52%)は前年比4.5%高の100ポンド当たり62.7ドル(1キログラム当たり111円:1米ドル=80円)であったが、第2四半期は同10.6%安の同61.5ドル(同108円)とかなりの程度下落した。

 また、USDA/ERSが6月18日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、2012年の肥育豚価格(同)は、前年比9%安の100ポンド当たり59〜61ドル(同104〜108円)とかなりの程度安値で推移するとみられている。2013年中に出荷されることが見込まれる、6月以降の分娩頭数が前年を下回って推移すると見込まれているのは、このような肥育豚価格の下落が影響しているものと考えられる。

 なお、現地関係者によると、肥育豚価格の回復が見込めない要因として、2012年の豚肉生産量が前年に比べ増加するのに対し、国内の豚肉需要が低迷していることを挙げている。

6月下旬から発生した熱波の影響

 6月下旬から米国のコーンベルト地帯は干ばつと熱波に見舞われており、生育・受粉障害によるトウモロコシの単収の低下が懸念されている。トウモロコシのシカゴ相場は7月に入って1ブッシェル当たり7ドルを突破し、年初来の最高値を更新したが、今後もトウモロコシをはじめとする飼料穀物が高値で推移すれば、豚肉の生産費が上昇し、養豚経営を圧迫することになりかねない。また、主要豚肉生産州はコーンベルト地帯と重なることから、週平均40度を超える熱波の頻発が受胎率の低下を招く可能性もあり、今後の動向が注目される。


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