10月の東部地区若齢牛指標平均価格は前年同月比3%安
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛取引の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、8月頃から下落傾向で推移し、10月のEYCI平均価格はキログラム当たり前年同月比3%安の352豪セント(299円:1豪ドル=85円)となった。EYCI価格は、2010年初頭以降の天候の回復を反映した素牛需要から、2010年7月以降上昇し、堅調に推移していたが、今回の下落によって2010年7月以前の水準まで値を下げた。
MLAは肉牛価格の下落について、8月以降、豪州東部では平均降雨量を下回る乾燥気候となり、牧草の減少懸念から家畜市場への出荷頭数が増加したものの、飼料穀物価格高などから飼養頭数を減らしたフィードロットや、牧草肥育農家からの肥育素牛需要が低下したことを要因としている。
図4 EYCI価格の推移 |
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資料:MLA |
10月牛肉輸出量は前年同月比12.3%増の高水準
肉牛価格の下落と供給量の増加を受けて、10月の牛肉輸出量(子牛肉含む)は伸びを示し、前年同月比12.3%増の9万4147トンとなった。これは、単月で過去最大の2006年11月(9万4693トン)をわずか546トン下回る過去3番目の高水準である。
国別でみると、米国向けは、米国国内の生産量減少による豪州産加工用牛肉への堅調な需要から、1万9135トン(前年度比56.9%増)となった。米国産との競合により2012年以降、前年同月を下回って推移していた韓国向けは、1万4683トン(前年同月比20.0%増)となった。これは、米国産の減産懸念から、来年1月23日の旧正月の需要期に向けて、豪州産で手当てを始めたことによるものとみられる。
10月に著しい伸びを見せたのが中国向けである。9月に前年同月の4.7倍となる4,060トン、10月には前年同月の7倍を超える7,524トンとなり、日本、米国、韓国向けに次ぐ4位となった。
一方、日本向けは、日本国内の在庫量が高水準にあり豪州産への需要が依然低調なことから、前年同月比17.5%減の2万4537トンとなった。
図5 牛肉輸出量の推移 |
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資料:豪州農漁林業省(DAFF) |
表1 国別牛肉輸出量 |
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資料:DAFF
注:CISはロシア他 |
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