米国農務省(USDA)によると、2013年の中国の搾乳牛頭数は、前年比5.0%増の840万頭、生乳生産量が同5.8%増の3580万6000トンと、いずれも2009年以降4年連続で増加する見込みとなった。
搾乳牛の増加の背景としては、生乳需要の回復がある。政府・メーカーは、生乳や牛乳・乳製品の安全性確保に向けた取り組みを強化し、消費者の信頼回復に努めた。その結果、消費量の増加につながったとみられる。健康志向の高まりと相まって、2013年の消費量(生乳換算)は3587万6000トンと、メラミン混入事件が起きた2008年の水準(3540万8000トン)を上回ることが予想される。
表8 中国の生乳需給等の推移 |
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資料:USDA 「GAIN Report」2012年10月公表
注:2012年は推定値、2013年は予測値。
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近年、中国では高価格帯の牛乳・乳製品の販売が好調であることを背景に、良質な飼料確保が可能な大規模生産者を中心として、海外から乳質に優れた乳牛を調達する動きがみられる。2011年の生体牛の輸入をみると、豪州が1万4913トンと全体の5割強を占め、その大半が乳牛であるとみられる。また、現地報道によると、2012年には、豪州、ニュージーランド及びウルグアイの3カ国から10万頭の輸入が見込まれる。
優秀な牛を求める動きは、精液の輸入でもみることができる。2011年の精液の輸入量(前年比27.6%増;5,620キログラム)は、2009年の2.7倍と著しく増加している。主な輸入国は米国でシェアが4割を占める。精液は、安価で優秀な牛を確保できるため、大規模生産者のみならず資金力の乏しい中小・零細生産者でも調達でき、国内で優秀な牛を求める動きが強まっているとみられる。
粗飼料輸入量を見ると、2012年1〜9月に34万2000トンと前年同期からほぼ倍増している。
今後、国内で優秀な乳牛が増加し、生乳生産が拡大すれば、飼料原料のトウモロコシや粗飼料の輸入量の増加は加速化するものとみられる。
図21 生体牛の国別輸入量の推移 |
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資料:GTI社「Global Trade Atlas」
注:HSコード0102 |
図22 精液の国別輸入量の推移 |
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資料:GTI社「Global Trade Atlas」
注:HSコード051110 |
表9 粗飼料の国別輸入量の推移 |
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資料:GTI社「Global Trade Atlas」
注:HSコード1214
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