財務省「貿易統計」によると、平成24年度上半期(4〜9月)の飼料用穀物輸入量のうち、最大のトウモロコシは前年同期比9.3%減の475万トンと、平成18年度以降減少傾向が続いている。
国別では、最大の輸出国である米国は、6月半ば以降大規模な干ばつが発生し、トウモロコシ価格が高騰したことなどから、同30.0%減の344万トンと大幅に減少した。一方、ウクライナは、平成24年2〜6月の間、毎月10万トンを超えており、その後は減少したものの、上半期では58万トン(前年同期実績なし)と米国に次ぐ数量となった。このほか、ウクライナとほぼ同時期に、セルビア(9万トン)、ハンガリー(6万トン)、ルーマニア(5万トン)、ブルガリア(3万トン)といった黒海沿岸の東欧および南東欧の国からの実績があった。また、アルゼンチンは、6月から輸入が始まり7〜9月には毎月10万トンを超え、37万トン(同51.1%増)となった。9月に始まったブラジルからの輸入は11万トン(同197.4%増)となるなど、価格が高騰した米国産に代わって南米からの輸入が増加している。
この結果、トウモロコシ輸入量に占める米国の比率は、平成16年度の95.7%から平成24年度上期には72.4%に低下した。同時に東欧・南東欧や南米といった地域へと調達先の多様化が進んだ。
平成24年度上半期の輸入価格(CIF)は、前年同期比8.6%安の25,987円/トンと年度当初から前年を下回る水準となった(図13)。
図13 飼料用トウモロコシの国別輸入量及び輸入価格(CIF) |
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資料:財務省「貿易統計」
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トウモロコシの代替として小麦や大豆かすの輸入量が増加
平成24年度上半期のトウモロコシ以外の主な飼料穀物輸入量は、大豆かすが前年同期比10.0%増の110万トン、小麦46万トン(同231.9%増)と増加する一方、こうりゃん60万トン(同8.6%減)、大麦50万トン(同16.6%減)と減少している。
大豆かすは、中国42万トン(同151.7%増)、アルゼンチン10万トン(同174.3%増)と大幅に増加した。平成8年度からの輸入実績を見ると、アルゼンチンは平成18年度に最大の9万トンを記録したが、平成24年度は6月に輸入が始まり、すでに上半期でこれを超えた。一方、これまで最大の輸入相手国であったインドは、5月以降急速に輸入量が減少し、23万トン(同55.0%減)と大幅な減少となった。
小麦は、7、8月に豪州からの輸入量が急増し、33万トン(同370.2%増)となり、すでに平成23年度年間数量の2倍近くに増加した。
この結果、主な飼料穀物(トウモロコシ、こうりゃん、大麦、小麦、大豆かす)の輸入量の比率をみると、トウモロコシは16年度に76.6%を占めていたが、平成24年度上半期では64.1%に低下した。一方、大豆かすは7.5%から14.8%に、小麦は0.5%から6.2%に上昇しており、トウモロコシから小麦や大豆かすへの代替が進んだ(図14)。
図14 主な飼料・飼料原料の輸入量の比率 |
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資料:財務省「貿易統計」
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なお、農林水産省は9月21日に公表した配合飼料高騰対策において、飼料用小麦の輸入量増加およびトウモロコシ調達先の多様化への対応策を講じている(本誌2012年11月号参照。)。
平成24年産飼料用米、認定面積の伸びが鈍化
農林水産省が公表した新規用途米等の用途別認定状況によると、平成24年産新規用途米等の用途別認定作付面積合計(10月15日現在)は、6万8091ヘクタール(前年比3.8%増)となった。用途別に見ると、全体の50.7%を占める飼料用米が同1.8%増の3万4525ヘクタール)、37.7%を占めるWCS用米(稲発酵粗飼料用稲)が2万5672ヘクタール(同11.2%増)、9.5%を占める米粉用米が6437ヘクタール(同12.1%減)となった。
新規用途米等の認定作付面積は、農業者戸別所得補償制度を背景として、平成20〜23年度の間に飼料用米が24.1倍、WCS用米が2.5倍、米粉用米が67.8倍と急速に拡大したが、平成24年産はこれまで拡大の中心を担っていた飼料用米などで伸びが鈍化する結果となった(図15)。
農林水産省が10月30日に公表した平成24年産水稲作付面積(10月15日現在。青刈り面積を含む。)は、157万9000ヘクタールとなった。これに占める新規用途米等の作付面積比率は、飼料用米で2.2%、WCS用米で1.6%となった。
図15 新規需要米等の用途別認定作付面積の推移
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資料:農林水産省「米に関するマンスリーレポート」 |
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