需給動向 海外

◆豪 州◆

脱脂粉乳、バターの生産が好調


◇絵でみる需給動向◇


7〜9月の生乳生産、好調を維持

 デイリー・オーストラリア(DA)によると、9月の生乳生産量は、前年同月比0.3%増の93万2000キロリトルとなり、昨年8月以降14カ月連続で前年同月を上回った。7〜9月の累計では、前年度比2.1%増の236万3000キロリットルとなっている。

 増産を牽引しているのは、ビクトリア(VIC)州である。豪州の生乳生産の約2/3を占めるVIC州の7〜9月の生乳生産量は、前年同期比3.0%増の159万4000キロリットルであった。

 関係者によると、これまで気象条件に恵まれて、水利用可能量が豊富なため、干ばつによる影響からの回復が進んでいることがVIC州の増産要因である。VIC州は、干ばつ以前の2001/02年度に過去最高の740万5000キロリットルの生産量を記録したことを考えると(2011/12度は621万3000キロリットル)、天候次第では増産余地があるといえよう。

図18 州別の生乳生産量(7〜9月)

資料:DA
  注:NSW州はニューサウスウェールズ州、SA州は南オーストラリア州、QLD州
    はクイーンズランド州、WA州は西オーストラリア州

バター、脱脂粉乳、チーズの生産量が前年超

 2012年7〜9月における乳製品の生産量については、バター、脱脂粉乳およびチーズが好調である。バターは前年同期比9.0%増の2万トン、脱脂粉乳は同7.8%増の6万3000トン、チーズが同7.2%増の7万5000トンといずれも前年からかなりの増加となっている。

 一方で全粉乳は、同11.6%減の3万5000トンと前年をかなり下回っており、バター、脱脂粉乳の生産に注力していることがわかる。
図19 乳製品生産量(7〜9月)

資料:DA

脱脂粉乳価格が堅調

 脱脂粉乳増産の要因は、採算性によるものとみられる。

 粉乳の国際価格の指標の一つとなっているグローバルデーリートレード(フォンテラ社主催の電子オークション)の推移を見ると、ここ数カ月の間、脱脂粉乳価格は全粉乳よりも堅調に推移している。最安値となった5月15日には、脱脂粉乳が前年比32.7%安(トン当たり2,573米ドル、20万8000円、1米ドル=81円)、全粉乳が同34.1%安(同2,546米ドル、20万6000円)まで大幅に落ち込んだ。しかしながら、11月6日には、脱脂粉乳が同3,449米ドル(27万9000円)と前年から4.8%高にまで上昇している。一方、全粉乳は同3,352米ドル(27万2000円)と、依然として前年の水準を3.9%下回っている。

 米国の干ばつ以降、国際的な供給不足懸念から、乳製品価格は上昇基調で推移している。こうした状況を受けて、大手のマレーゴールバン社は、2012/13年度の乳価予測について、7月の乳固形分1キログラム当たり4.7〜4.9豪ドル(400〜417円、1豪ドル=85円)を、10月に同4.8〜5.0豪ドル(408〜425円)に上方修正している。
図20 グローバルデーリートレードにおける脱脂粉乳および全粉乳価格の推移

資料:グローバルデーリートレード

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