需給動向 海外

◆E U◆

豚枝肉価格はわずかに下落するも、高値維持の見込み


◇絵でみる需給動向◇

2012年10月の豚枝肉卸売価格、前年同月比21.2%高

 欧州委員会によると、EUにおける10月の豚枝肉卸売価格は、100キログラム当たり189.09ユーロ(19,854円、1ユーロ=105円)と前月から0.5%下落、前年同月比で21.2%高となった。前々月および前月において価格は続伸し、やや上昇傾向にあったが、10月に入り高止まりとなった。今回の枝肉価格高騰は、豚肉供給量の減少が原因とされており、ドイツの政府系研究機関の専門家によると、夏場からやや供給量が不足する傾向にあった状況が、9月以降も継続すると見込まれたため、市場価格が高騰したものと考えられている。

 欧州委員会公表の豚肉生産量の統計によると、EU全体の6月の豚肉生産量(枝肉ベース)は174万3715トンであり、前月から6.0%減少、前年同月比でも2.7%の減少となった。実績値は6月までしか公表されていないが、7月以降も前年と比較し減少傾向で推移したものと考えられる。

 また、英国の農業・園芸委員会(AHDB)によると、10月の豚枝肉価格の下落は、ここ数週間におけると畜頭数の増加によるものとみられている。しかし、専門家の予測によると、数カ月以内に再び供給がひっ迫すると見込まれている。なお、今回の価格下落はドイツ、スペイン、オランダなどの主要な豚肉生産国で起きたが、特にフランスにおいて顕著な傾向をみせ、9月末から10月末までの1カ月間で8.5%下落した。ただし、デンマークでは依然として供給不足が原因とされる価格高が継続しており、その要因の一つとして子豚の生体輸出の増加があげられている。

図9 豚枝肉卸売価格の推移
資料:欧州委員会
図10 豚肉生産量の推移
資料:欧州委員会

子豚価格が再び上昇傾向、飼料価格高騰とともに養豚経営の収益性悪化が懸念

 欧州委員会によると、2012年10月の子豚価格は1頭当たり47.1ユーロ(4,946円)となり、前月から3.8%上昇、前年同月比で34.4%の上昇となった。

 子豚価格は、昨年から上昇を続け、2012年4月には51.3ユーロ(5,387円)に達した。その後、季節的な変動により8月まで下降を続けたもの、高値を維持したまま再び上昇傾向を見せている。なかでも、著しい上昇を見せているのはポーランドである。ポーランドにおける2012年10月の子豚価格は1頭当たり45.3ユーロ(4,757円)となっており、前年同月と比べ46.2%上昇した。これまで、ポーランドにおける子豚価格は、EU平均を下回る価格で推移していたが、昨年からほぼ一貫して価格上昇が継続し、2012年8月にはEU平均価格を上回るまで上昇した。

 EU域内における繁殖母豚の減少傾向と、ドイツ、ポーランドを中心とした堅調な子豚需要が子豚価格上昇の主な要因と見られている。

 肥育経営においては、子豚価格の上昇とともに飼料価格の上昇もあり、コスト増加要因が重なる状況となっていることから、枝肉価格の動向とあわせ養豚経営の収益性悪化が懸念される。
図11 子豚価格の推移
資料:欧州委員会


元のページに戻る