需給動向 国内

◆豚 肉◆

平成24年度上半期の生産量はわずかに増加、輸入量はわずかに減少


◇絵でみる需給動向◇


 農林水産省「食肉流通統計」によると、平成24年度上半期(4〜9月)の豚肉生産量は、前年同期比1.7%増の43万975トンとなった。月別に見ると、4〜8月は、6月を除き前年同月を上回って推移したものの、9月は残暑の影響で同7.2%減となったため、上半期計は前年をわずかに上回る程度にとどまった。なお、1頭当たり平均枝肉重量は、前年並みの75.7キログラムとなり、これまでの増加傾向は鈍化している。

 上半期の地域別と畜頭数を見ると、東北地方が前年同期比0.6%増、中国・四国地方が同3.7%増、九州・沖縄地方が同5.2%増となっており、その他の地方は前年同期を下回った。東北地方においては、東日本大震災からの復興に伴い、宮城県が同6.5%増、福島県が同7.6%増と回復傾向にある。中国・四国地方においては、企業養豚の新規参入などから、広島県が同19.6%増となっている。九州・沖縄地方においては、口蹄疫からの復興過程にある宮崎県が同18.8%増となったものの、口蹄疫発生前の21年度上半期と比べると、5.0%下回っている。

 一方、財務省「貿易統計」によると、豚肉の輸入量は38万3582トン(同2.0%減)となった。このうち、冷蔵品は12万8538トン(同1.0%減)、冷凍品は25万4997トン(同2.5%減)であった。冷蔵品は、平成23年度以降、毎月おおむね2万トン台前半で推移しており、前年並みで推移した。冷凍品は、輸入申告に係る審査・検査の充実が図られた直後の4〜6月は、月ごとの変動が大きかったものの、7月以降、4万5000トン前後で推移している(図2)。


図2 豚肉の生産量、輸入量および推定期末在庫の推移
資料:生産量は農林水産省「食肉流通統計」、輸入量は財務省「貿易統計」
    在庫量は農畜産業振興機構調べ

推定期末在庫はかなりの程度増加、推定出回り量はわずかに減少

 9月末時点における豚肉の推定在庫(機構調べ)は、前月から3,284トン積み増しの17万9283トン(前年同月比10.9%増)となった。推定期末在庫は7月以降3カ月連続で積み増しが進み、9月は平成24年度上半期で2番目に多い数量となっている。これは、7〜9月の冷凍品輸入量が前年同月を上回って推移しているためとみられる。

 以上から、平成24年度上半期における豚肉の推定出回り量は、81万8032トン(前年同期比1.1%減)となった。このうち、国産品は42万9907トン(同0.7%増)、輸入品は38万8126トン(同3.0%減)であった。

卸売価格は前年同期を下回って推移

 平成24年度上半期の平均豚枝肉卸売価格(省令規格の東京・大阪市場加重平均)は、キログラム当たり475円(同5.0%安)となった。生産量の増加、競合する鶏肉卸売価格の低水準での推移、前年度に減少した牛肉消費の回復による豚肉の需要減から、月別に見ても全ての月で前年同月を下回った。しかしながら、9月は、生産量の減少から、同449円(前年同月比0.4%安)と、ほぼ前年同月の水準まで回復しており、10月(速報値)は、同402円(同7.8%高)と、前年同月の価格を上回っている。11月以降は年末に向けて需要が高まる時期であるものの、生産量も増加する時期であり、今後の卸売価格の動向を注視したい(図3)。
図3 豚枝肉の卸売価格の推移
資料:農林水産省「食肉鶏卵速報」
注1:省令規格の東京・大阪市場加重平均
注2:平成24年10月は速報値


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