需給動向 海外

◆豪 州◆

2011/12年度の牛肉輸出量は前年度並みも、米国、日本向けは減少


◇絵でみる需給動向◇


2012年6月末の総飼養頭数は、1977年以来となる3千万頭台

 豪州農業資源経済局(ABARES)は12月、四半期ごとに公表する農産物需給予測を公表した。これによると、2011/12年度(7月〜翌6月)のと畜頭数は、前回予測(800万9千頭)から下方修正され、794万8千頭(前年度比1.8%減)となり、1995/96年度以降では最低水準となることが見込まれる。と畜頭数の減少は、2010年初頭からの天候の回復に伴って、牧草の生育状況が改善し、雌牛の保留傾向が強まったことによるものとみられる。雌牛と畜頭数をみると、2011年7〜9月には前年同期比13%減となっている。

 こうしたと畜頭数の減少により、牛群再構築は一層進むものとみられる。2012年6月末時点の総飼養頭数(乳牛を含む)は、前回予測(2800万頭)から上方修正されて、3020万頭(同4.8%増)となり、1977年以来となる3千万頭台が見込まれることとなった。また、肉牛の飼養頭数も上方修正され、2760万頭(同5.3%増)となった。

表1 牛肉生産関連指標などの推移
資料:ABARES

 と畜頭数減の一方で、2011/12年度の牛肉生産量(子牛肉含む)は、214万5千トン(同0.6%増)と前回予測から上方修正され、前年から微増することが見込まれる。これは、肉牛の主産地の豪州東部で、牧草での肥育環境が良好なことから、と畜重量が増加していることによる。2011年7〜9月の成牛と畜重量はクイーンズランド州で前年同期比4.8%増、ニューサウスウェールズ州で同4.5%増、タスマニア州で同5.4%増となった。

2011/12年度の牛肉輸出量は、主要3カ国向けの割合が低下

 2011/12年度の牛肉輸出量(子牛肉含む。船積重量ベース)は94万1千トン(前年度比0.4%増)と、前年度並みと見込まれている。しかし、輸出先については変化がみられる。過去10年間では全体の約8割を占めていた米国、日本および韓国の主要3カ国向けは、68.1%まで減少し、ロシアやASEAN、中東向けなどが一層増加すると見込まれている。

 主要3カ国についてみると、日本向けは、牛肉消費の停迷や米ドル安による米国産の増加などから、同4.4%減の33万6千トンと予測される。なお、2011年7〜11月における日本への輸出実績は、14万5千トン(前年同期比6.6%減)となった。このうち、冷凍グラスフェッド牛肉はファストフードを中心とした加工用牛肉需要の増加から6万8千トン(同6.7%増)と増加したものの、冷凍グレインは2万トン(同23.0%減)、冷蔵グラスは1万8千トン(同14.5%減)、冷蔵グレインは3万9千トン(同12.6%減)など、比較的高価格帯の商品は大幅に減少した。

 米国向けは、過去5年平均(26万7千トン)を39.9%下回った前年度並みの16万トンと、低水準が見込まれる。これは、前年度からの干ばつにより米国南部で依然としてと畜が進み、米国内での牛肉生産量が増加傾向で推移し、特に、加工用向けが増加し、豪州産加工用牛肉と競合したことによる。北部では気候の改善によりすでに牛群再構築の動きがみられることから、今後は米国内生産量の減少も見込まれるものの、豪ドル高米ドル安からカナダ産などとの競合が予測される。

 韓国向けは同4.2%増の14万5千トンと、冷蔵牛肉を中心に増加が予測される。しかし、韓国では、加工向けを中心に米国産の輸入量の増加が見込まれることから、豪州産のシェアは低下するとみられる。

図3 牛肉輸出量の推移
資料:DAFF、ABARES
注1:年度は7月〜翌6月。
注2:2010/11年度以前はDAFF、2011/12はABARESによる予測

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