需給動向 海外

◆米 国◆

2011年牛肉輸出量はBSE発生前の水準を上回る見込み


◇絵でみる需給動向◇


2011年1-10月の輸出量は前年同期比25.4%増

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が12月15日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、2011年10月の牛肉輸出量(枝肉重量ベース)は前年同月比10.7%増の10万4千トンと2009年10月以降連続して前年を上回った。2011年は米ドル安を背景に牛肉輸出が好調であり、1〜10月の累計では前年同期比25.4%増の105万9千トン、輸出額ベースでは同38.5%増の37億9千万ドル(約2984億円:1ドル=79円)となった。2011年の1〜10月の累計輸出額は、過去最高を記録した2010年の33億9千万ドル(約2669億円)を既に上回っており、2011年の輸出金額は過去最高を記録することが確実となっている。USDAは、2011年の輸出量は前年を20.3%上回る125万4千トンになると見込んでおり、2003年のBSE発生以降初めてBSE発生前の水準を上回ることが予想される。

 なお、USDAは、2012年の輸出についても香港、東アジア市場向けの拡大が継続するものと見込まれることから、2011年の予測数量を0.4%上回る125万9千トンと予想している。

図1 牛肉輸出量および金額の推移
資料:USDA「Livestock and Meat Trade Data」、「Livestock, Dairy & Poultry Outlook」

上位4カ国のシェアは低下傾向、 輸出先の多様化が進む

 2011年1〜10月の輸出量を仕向け先国別に見ると、全体の約66%を占める上位4カ国(カナダ、メキシコ、日本、韓国)は、全てで前年同期を上回っている。最大の輸出先はカナダで、前年同期比32.8%増の18万9千トン、2位のメキシコは同0.9%増の18万6千トン、3位の日本は円高を背景に同31.1%増の17万4千トン、4位の韓国は口蹄疫発生に伴う需要増などにより同45.1%増の14万7千トンとなった。

 カナダは、牛肉輸出国である反面輸入国でもあり、最大の輸入元は米国である。両国は東西に長く国境を接しており、牛肉の生産量が少なく人口の多いカナダ東部では米国産牛肉を輸入している。同国の牛飼養頭数が減少している中にあって、米ドルに対してカナダドルが高いことなどにより米国産牛肉の輸入量が大幅に伸びたと考えられる。

 2003年までは上位4カ国が9割以上を占めていたが、BSE発生後は上位4カ国のうち日本と韓国向け輸出が伸び悩む中、これら以外の国への輸出が拡大している。2011年1〜10月の輸出量は5位に位置する香港向けが、前年同期比44.9%増の6万3千トン、次いでロシア向けが同85.5%増の6万トンとなった。この他、東南アジア、中東等新興国の増加率が大きくなっており、今後も輸出先の多様化が見込まれる。

図2 輸出量の輸出先国別割合の推移
資料:USDA「Livestock and Meat Trade Data」

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