需給動向 海外

◆タ イ◆

10月の生産量は前年を上回る


◇絵でみる需給動向◇


鶏肉生産量、消費量ともに前年を上回る

 2011年の鶏肉生産量は、国内需要増加により第1四半期以降前年を上回る水準で推移し、第3四半期の生産量は、前年同期比6.2%増の2億6400万羽となった。10月の生産量は、前年同月比4.2%増の8770万羽(前月比6.6%増)となった。

 タイ農業・協同組合省によると、洪水の影響を受けたブロイラー農家は全体の1%程度とみられ、ブロイラーおよび採卵鶏を合わせても被害は150万羽と、ブロイラー総飼養羽数の約11億羽から見て、被害は比較的小規模に留まったとみられる。これは、一部の主要生産地において、あらかじめ高台に鶏舎を建設したり、洪水前に出荷したりするなど、洪水に備えた対策を取っていたため、被害が小規模となったものとみられる。ただ、洪水によってとうもろこし生産は被害を受けたため、今後の飼料コスト上昇が懸念されている。

 鶏肉の消費量は、豚肉価格の上昇の影響により消費が豚肉から鶏肉へシフトしたため、第3四半期は前年同期比4.3%増の21万8千トンとなった。10月は洪水の影響を受け消費需要の減少が見込まれたものの、同4.2%増、前月比では17.5%増の7万4千トンとなった。現地コンサルタントによると、洪水の影響で流通が滞り、国内消費量の15%程度の落込みがあったとみられていることから、10月の消費量の増加要因は、実際の消費ではなく、民間在庫の積み増しによるものとの見方もある。

図6 四半期別のブロイラー生産量
資料:タイ農業・協同組合省
図7 ブロイラー生産量と卸売価格の推移
資料:生産量はタイ農業・協同組合省、卸売価格はタイ商務省

 卸売価格は、7月以降ほぼ横ばいで推移したが、10月は前月比4.5%安の1キログラム当たり39.5バーツ(99円:1バーツ=2.53)となった。10月初旬に開催された9日間のベジタリアン祭りや洪水による消費需要の減少にもかかわらず、予測されていた程の価格の下落はなかった。これは、EUなどの海外実需者が、洪水による出荷停滞を懸念して出荷を前倒しした影響とみられている。

輸出は好調を維持

 2011年1〜11月の鶏肉調製品の輸出量は、前年同期比4.8%増の38万8トンとなった。国別に見ると、全体の約9割を占める主要3カ国(オランダ、日本、英国)のうち、日本(同7.7%増)および英国(同0.3%増)の輸出量は前年を上回った。また、無税枠を設定した韓国向け(同38.2%増)およびクリスマス向けの需要期を迎えるドイツ向け(同14.0%増)は前年を大きく上回った。ヨーロッパからの需要はクリスマスおよび新年の2〜3カ月前にピークを迎えるため、第4四半期を通じて輸出は好調と見込まれる。

 また、洪水の影響による輸出遅延の長期化を懸念したバイヤーの一部は、タイ産鶏肉調製品の買付を前倒しし、2012年第3四半期先までの買付予約を取り付けている。これらは、日本およびヨーロッパからの買付が大半を占めている。

 タイブロイラー加工輸出協会によると、海外からの需要増が今後も見込まれることから、今年目標としていた輸出量45万トンの達成を見込んでいる。

図8 タイの鶏肉調製品輸出量と価格
資料:タイ財務省

 鶏肉調製品の輸出価格は、7月まで前年を上回る水準で推移したものの、8月は生体価格の下落の影響により一旦は大きく下落した。10月は洪水の影響を受けたものの旺盛な海外需要を反映し、前月比1.0%安の1トン当たり140,804バーツ(35万6千円)、11月は同0.3%高の同141,157バーツ(35万7千円)と、いずれも前年を12.0〜12.8%上回る高水準となっている。


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