需給動向 海外

◆米 国◆

豚肉生産は拡大傾向にあるものの、価格は依然として高水準


◇絵でみる需給動向◇


中国、韓国向けの豚肉輸出が好調

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が12月15日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、2011年1〜10 月の豚肉輸出量(枝肉重量ベース)は、前年同期比22.3%増の190万3千トンとなった。輸出増をけん引しているのは、口蹄疫発生により豚飼養頭数が減少している韓国と、供給不足などにより豚肉価格が高騰している中国(香港含む)である。韓国向けおよび中国向け輸出量はそれぞれ同124.2%増、112.2%増となっている。特に、中国向け輸出は7月以降急激な伸びを示しており、10月の輸出量は第一位である日本向けとほぼ同じ数量を記録した。1〜10月の豚肉生産量に占める輸出の割合も22.5%となり、前年の18.7%を大きく上回る結果となっている。

図4 米国産豚肉の輸出先国の推移(国ごとの月別輸出量の推移)
資料:USDA/ERS
表2 米国産豚肉輸出量(1〜10月)
(単位:千トン)
資料:USDA/ERS

 輸出需要が旺盛ななか、国内需要も堅調であるため、豚肉価格および肥育豚価格は前月よりも低下しているものの、前年を大幅に上回る水準で推移している。2011年11月の豚肉卸売価格(カットアウトバリュー、推測値)は前年同月を17.6%上回る100ポンド当たり91.0ドル(キログラム当たり158円:1ドル=79円)となり、肥育豚価格(赤身率51〜52%、推測値)は同35.1%上回る100ポンド当たり63.5ドル(同110円)となった。

好調な価格を反映して豚肉生産は 増加傾向

 好調な豚肉価格を背景に豚肉生産は増加傾向で推移している。11月の豚肉生産量(枝肉重量ベース)は前年同月0.9%増となる過去最高の94万6597トンを記録した。

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が12月23日に公表した「Quarterly Hogs and Pigs」によると、2011年12月1日現在の肥育豚飼養頭数が昨年同時期より98万1千頭多い前年比1.7%増の6012万8頭となっている。今年前半の豚肉生産量は前年を上回って推移することが推測される。

 また、生産者の生産拡大意欲を測る指標の一つである繁殖豚頭数については、2011年12月1日現在の繁殖豚数は昨年よりも2万5千頭多い前年比0.4%増の580万3千頭となっており、4期連続で前年を上回る数値となった。このほかの指標として分娩見込み頭数があるが、2011年12〜2012年2月および2012年3〜5月の同数値は、それぞれ前年比0.8%増、0.9%減と推測されている。これら指標から、生産者は飼養頭数の緩やかな拡大を図っているところであるが、本年後半にかけて生産を拡大するかどうかについては様子見の段階にある、と推測される。なお、生産者が積極的に生産拡大に踏み切れない理由の一つには、依然として1ブッシェル当たり6ドル水準で推移しているトウモロコシ価格がある。

 今後の生体豚、豚肉卸売価格の見通しについては、生産が増加することからやや低下するものと考えられる。しかし、生産が減少傾向にある牛肉および鶏肉の小売価格が堅調に推移しており、豚肉の小売価格が大幅に弱含む可能性は低いものと推測されることから、生体豚、豚肉卸売価格の下げは限定的であり、例年と比べれば高値で推移するものと予想される。

表3 豚飼養頭数の推移
(単位:千頭)
資料:USDA/NASS「Quartely Hogs and Pigs」
  注:各年12月1日時点

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