需給動向 海外

◆カナダ◆

カナダの牛飼養頭数、増頭の兆し


飼養頭数は0.8%減、後継牛は6.7%増

 カナダ統計局(Statistics Canada)が8月22日に公表した牛の飼養動向調査結果によると、2011年7月1日現在におけるカナダの牛総飼養頭数は、前年比0.8%(11万頭)減の1387万頭となった。

 内訳を見ると、酪農経営では同1.3%増の197万9千頭と、2年続けて微増となっているが、肉用牛経営では同1.1%減の1189万頭と、2005年以降減少傾向で推移している。肉用牛経営では、繁殖雌牛が同2.1%減で依然として減少しているものの、未経産牛は同6.7%増と7年ぶりに増加に転じている。

図1 カナダ牛総飼養頭数
資料:Statistics Canada

 2005年の1688万頭をピークにキャトルサイクルの減少局面に入って、6年連続で減少が続いたが、生産者の増頭意欲を受けて肉用後継牛の飼養頭数がプラスになるなど上昇局面に転じる兆しがみえてきた。

生体牛輸出減少で国内の肥育部門は増加

 カナダの生体牛輸出は99%以上が米国向けである。2011年のカナダの生体牛輸出頭数は米ドル安・カナダドル高と、米国の食肉の原産地表示制度の影響により、前年を大きく下回る水準で推移している。カナダ農務・農産食品省(AAFC)の統計によると、10月は前年を23.6%下回る5万9千頭、1〜10月では前年比38.1%減の57万9千頭となった。内訳を見ると、輸出の大半を占めると畜場直行牛は同31.8%減の50万頭となっており、肥育素牛は同63.8%減の6万8千頭となった。

図2 カナダから米国へ輸出される生体牛
資料:AAFC

 生体牛輸出は減少しているものの、カナダにおける牛と畜頭数も、11月は前年を4.2%下回る22万6千頭、1〜11月では10.5%減の263万頭と減少傾向に歯止めはかかっていない。

 また、カナダの肥育牛の飼養頭数は、2011年1〜6月の米国向け生体牛の輸出頭数が前年を40.5%下回った結果、7月1日現在、前年比9.1%増の168万頭となった。これは、西部における多雨の影響で、たんぱく質が低下した小麦や大麦が多量に飼料用に仕向けられたことから、肥育牛の飼料コストが米国に比べて安価となったことが要因である。

2011年の牛肉輸出量は20%減の見込み

 カナダの牛肉生産量は米国の1割程度だが、牛肉輸出量は米国の3〜4割に相当する量である。カナダは牛肉輸出国としては世界で5番目の位置にある(2010年)。2011年の牛肉輸出量は前年を20.4%下回る40万トンと見込まれている。

 また、カナダは牛肉輸出国である反面、輸出量の約半分程度を輸入する輸入国でもある。カナダの最大の輸出先は米国であり、同時に米国が最大の輸入元でもある。両国が東西に長く国境を接しており、牛肉の主産地で人口の少ないカナダ西部では米国向けに輸出し、牛肉の生産量が少なく人口の多いカナダ東部では米国産牛肉を輸入している。

図3 カナダの牛肉の輸出入
資料:USDA

 


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