需給動向 国内

◆鶏 肉◆

鶏肉在庫量は増加傾向、卸売価格は下落


◇絵でみる需給動向◇


 財務省「貿易統計」によると、23年10月の鶏肉輸入量は3万4千トンと、前年同月比11.6%減と2カ月連続で前年を下回った。特にブラジルからの輸入量が減少し2カ月連続で2万トン台だったことが大きい。鶏肉調製品については3万8千トンと、前年同月比19.7%増と3カ月連続で前年を上回り、特に中国からは2万トン(前年同月比30.3%増)と輸出量を拡大させている。鶏肉と鶏肉調製品を合わせた総輸入量は7万2千トンとなった。一方、国産鶏肉の生産量は、年末の最需要期に照準を当てて順調に生産量を回復させてきており、12万3千トン(同1.4%増、機構推計)と着実に生産量を増やしている。

 震災以降、国産品の供給不足を見込んでの輸入量の増加は、在庫量(機構調べ)にも影響を及ぼしている。輸入品在庫量は7カ月連続で前年同月を上回る10万8千トン(同17.6%増)、国産品在庫量については25カ月ぶりに前年同月を上回る3万トン(同13.4%増)となった。輸入品と国産品を合わせた総在庫量は13万8千トン(同16.6%増)と、積み増されている。景気低迷により比較的安価な鶏肉には依然として高い需要があるが、他の食肉の卸売価格が低迷する中、国産鶏肉卸売価格への影響も懸念される(図4)。

図4 鶏肉・鶏肉調製品輸入量、生産量及び在庫量の推移
資料:財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ、農林水産省「食鳥市況情報」

 農水省「ブロイラー卸売価格」によると、国産鶏肉(東京)のもも・むね肉あわせた卸売価格は、キログラム当たり875円(同5.8%高)、11月(速報値)が同856円(同2.9%安)と、21カ月ぶりに前年同月を下回った。

 国産鶏肉の卸売価格は、最需要期を前にして徐々に上昇していく時期であるが卸売価格の下落は、在庫量の増加や他の食肉との競合などの影響も考えられ、今後の動向が注目される。


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