1.国内生産量は3年連続減少の見込み
2011年の牛肉生産量は、前年比1.8%減の550万トンと3年連続して減少する見込みである。USDAによると、大規模農家(年間出荷頭数500頭以上)は同36.6%増の3428戸と大幅に増加する一方で、小規模農家(年間出荷頭数10頭未満)は、同3.4%減の1330万戸と減少する。規模拡大が進む中、粗飼料とトウモロコシの供給不足などにより飼料価格が上昇し、人件費および輸送コスト高も相まって、生産コストが増加している。生産コスト高は、農家の経営を圧迫し、この1年間で46万戸の小規模農家が廃業に追い込まれた。
表12 中国の牛肉需給状況
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(単位:千頭、千トン)
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資料:USDA
注1:供給量=国内生産量+輸入量−輸出量
2:2011年は予測値
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2.9月、生産量が消費量に追いつく
牛肉の消費量は2011年5月以降堅調に推移し、9月は前年同月比9.9%増の52万トンとなった。牛肉の生産量も7月以降堅調に推移し、9月は同9.1%増の51.7万トンなった。生産量は5月以降、消費量に追い付かない状態であったが、9月に入って消費量に追いついたものの、10月の国慶節(10月1〜7日)により需要が拡大するため、今後需給がよりひっ迫することが見込まれる。
図17 牛肉の月別生産量と消費量
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資料:中国農業科学院
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3.高水準続く都市部の市場価格
5月以降の牛肉需給がひっ迫する中、市場価格は2011年4月以降上昇し続け、9月には1キログラム当たり39.19元(約491元=12.69円:11月末日TTS相場)と前年比13.8%高の高水準となった。
USDAによると、肉用牛の主要生産地は、草資源が豊富な華北および西部地域(内蒙古自治区、甘粛省、新疆ウイグル自治区、青海省、チベット自治区)である。同地域は、消費地が離れているため、コールドチェーンによる長時間の輸送など流通コストがかさみ、価格形成の大きな比重を占める。
図18 牛肉都市市場価格の推移
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資料:国家発展開発委員会
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4.牛肉輸入および牛肉調製品輸出
2011年1〜10月の冷凍牛肉輸入量は、前年同期比22.4%減の15430トンと減少した。減産の背景としては、2010年は国際的な祭典が開催され、一時的に需要が拡大したことがある。これにより、冷凍牛肉輸入量を押し上げたが、2011年は例年並みに戻った。主な輸入先国は、ブラジル、ウルグアイ、豪州、ニュージーランド。
2011年1〜10月の牛肉調製品の輸出量は、前年同期比18.9%増の13,836トンと堅調に推移している。2011年2月以外の月間輸出量は、前年より増加している。主な輸出先国は、日本と香港。2011年1〜10月の日本向け輸出量は、2010年の年間輸入量を上回った。
表13 冷凍牛肉の輸入量
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(単位:トン)
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資料:GTI社“ World Trade Atlas”
注:HSコード0202
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図19 冷凍牛肉の月別輸入量
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資料:GTI社”World Trade Atlas”
注:HSコード0202
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表14 牛肉調製品の輸出量
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(単位:トン)
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資料:GTI社“ World Trade Atlas”
注:HSコード160250
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図20 牛肉調製品の月別輸出量
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資料:GTI社”World Trade Atlas”
注:HSコード160250
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