需給動向 国内 |
11月から12月にかけての鶏卵相場は、鍋料理や洋菓子などへの需要期を迎えるため上昇するが、今年は例年と比べ相場の上昇幅が小さい。 卸売価格について全農「畜産販売部情報」(東京・M玉)を見ると、11月8日にキログラム当たり190円から同195円に値を上げて以降、12月15日現在でも同195円(前年同月比18.8%減)の横ばい状態となっている。9月以降、入荷量が前年同月を下回っているなか、卸売価格はさほど上昇していない(図6)。
我が国では、鶏卵生産量の1〜2割が粉卵や液卵に加工され、マヨネーズ、製パンや製菓などに利用されている。卸売価格が上昇しなかった要因の1つとして、加工卵(粉卵及び凍結液卵)と殻付き卵の輸入量の増加が挙げられる。 最近の加工卵等の輸入量について財務省「貿易統計」を見ると、4月以降、加工卵、殻付き卵ともに前年同月を大きく上回って推移している(図7)。4月から10月までの累計で見ると、加工卵は19,272トン(前年同期比29.7%増)、殻付き卵は3,571トン(同6,236.4%増)と特に殻付き卵の増加が著しい。
これは、今年3月11日に発生した東日本大震災の影響による鶏卵の一時的な品不足や4月をピークに卸売価格が急騰するなど、加工メーカーによる国産鶏卵の調達が困難となったことから、原材料を安定的に確保するため輸入品を増やしたことが原因と考えられる。 加工卵や殻付き卵は契約に基づいて輸入されるため、輸入量の増加は今後も続くものと思われる。加工卵等の輸入量増加は、国産鶏卵の加工仕向け量の減少につながることから、鶏卵生産量の変動のみならず加工卵等の輸入の動向についても、注視が必要である。 |
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