財務省「貿易統計」によると、トウモロコシの輸入量(配合飼料の成分構成の40%以上を占める)は、平成23年度に入り前年を下回って推移し、今年度上半期は、前年同期比12.3%減の495万3000トンとなった。また、大豆油かす(同10%以上を占める)の輸入量も、同16.8%減の99万9000トンとなった。
これは、国内の畜産物生産量が減少傾向の中、震災の影響や配合飼料価格の値上げから、値上がり幅が比較的に小さい乳牛向けを除き、配合飼料の需要が減少したことによるものとみられる。今年度上半期の配合飼料生産量は、前年同期比1.3%減の1160万トンとなった。
また、トウモロコシの代替として飼料用小麦、トウモロコシや大豆油かすの代替としてトウモロコシ蒸留かす(DDGS:Distillers Dried Grains with Solubles)などの輸入が増加したことも挙げられる。今年度上半期の飼料用小麦およびDDGSの輸入量は、それぞれ前年同期比128.9%増の13万9000トン、同46.2%増の20万4000トンとなった(図8、9)。
図8 飼料用小麦輸入量
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資料:財務省「貿易統計」
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図9 DDGS輸入量
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資料:財務省「貿易統計」
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この背景としては、ロシアが穀物輸出を禁止したことや、米国のトウモロコシ在庫率が低下したことなどから、22年度以降トウモロコシの輸入価格(CIF、以下価格)が上昇したことにある。トウモロコシ価格は、これまで小麦価格を下回る傾向で推移したが、23年5月以降、小麦価格を上回っている。9月のトウモロコシ価格は、同月の小麦価格を11.7%上回る1トン当たり27,768円となった。また、これまでトウモロコシや飼料用小麦の価格を上回る傾向にあったDDGS価格も、3月からトウモロコシ価格を下回り、飼料用小麦との価格差もなくなってきている(図10)。
図10 品目別輸入価格
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資料:財務省「貿易統計」
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この結果、農林水産省の「流通飼料価格等実態調査」によると、23年9月の配合飼料原料における各品目の使用割合は、1年前に比べ以下のようになった(表1)。
表1 配合飼料原料における各品目使用割合
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(トン、%) |
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資料:農林水産省「流通飼料価格等実態調査」
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米国農務省(USDA)が11月9日に公表した世界農産物需給推計の月例報告によると、同国産トウモロコシの2011/12年度期末在庫率は先月の6.8%から6.7%に下方修正されたことから、トウモロコシの国際需給は引き続き堅調に推移するとみられる。当面、飼料用小麦やDDGSの輸入は増加傾向で推移するものと見込まれる一方、トウモロコシの輸入は減少傾向で推移するものと考えられる。 |