話題  畜産の情報 2012年1月号

新年のごあいさつ

独立行政法人 農畜産業振興機構 理事長 佐藤純二


 新年のご挨拶を申し上げます。

 私、昨年10月、木下前理事長の後任として理事長に就任いたしました佐藤でございます。新年のごあいさつと併せて、就任のごあいさつを申し上げます。

 当機構は、わが国農業の大宗を占める畜産、野菜、砂糖及びでん粉の振興業務を担っておりますが、新年を迎え、理事長としてその重責に改めて、身の引き締まる思いであります。

 前理事長と同様、ご支援、ご鞭撻をいただきますようお願い申し上げます。

 昨年は、事業仕分けによる事務・事業の見直しに基づき、業務内容の見直しを行い、生産者の経営安定対策を中心に、需給対策および緊急・補完対策を実施いたしております。特に、養豚経営安定対策、肉用牛肥育経営安定対策では、生産者に対する直接交付を開始いたしました。

 また、需給対策については、乳製品、食肉(牛肉・豚肉)について需給調整の前提となる需給予測を昨年4月から毎月公表しております。

 昨年は、3月11日の東日本大震災の発生により、東日本各県の多くの畜産農家が被災され、また、飼料供給ルートの寸断、飛散した放射性物質による飼料の汚染など大きな被害が発生いたしました。機構では、被災された農家等に対する経営再開対策などを迅速かつ機動的に実施しました。

 世界に目を転じると、FTAによる自由貿易が促進される中、我が国は、昨年8月にインドとの経済連携協定(EPA)が発効し、ペルーとの間でも昨年5月にEPAの署名が行われるなど二国間での枠組み形成が進展しました。さらに、環太平洋経済連携協定(TPP)については、11月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)において、我が国は交渉参加に向けて関係国と協議に入ることを表明しました。

 また、このような貿易の枠組みに関する動きのほか、世界の食料・資源事情はますます厳しさを増しています。昨年のとうもろこしの国際価格は、米国産とうもろこしの期末在庫が低水準になるとの見通しから6月10日には1ブッシェル当たり787セントと平成20年の史上最高値を更新しました。その後、一時期よりは下落したものの依然として高い水準で推移しております。

 情報収集提供業務につきましては、昨年3月末をもって全ての海外駐在員事務所を閉鎖いたしましたが、新たな国際情報を担当する専門の部署を設け、海外情報の収集に努めております。これにより、グローバルな視点で我が国の農畜産業への影響を注視し、皆様に有益な情報を提供できるよう務めてまいる所存です。

 一方、国内に目を向けてみますと、穀物価格の上昇により配合飼料価格が高止まる中で、景気の停滞による畜産物消費の低迷や消費者の低価格志向に加え、放射性物質による影響や風評被害等もあり、昨年は畜産物価格が低落しました。徐々に回復が見られるものの、まだ前年の水準には至っておりません。当機構といたしましても、全力をあげて、生産、流通それぞれの段階で支援対策を実施しているところでございます。

 農畜産業を取り巻く情勢が大きく変化する中にあって、業務の一層の効率化や透明性の確保に努め、農畜産業および関連産業の健全な発展と国民消費生活の安定に資するよう、国民の視点に立った業務運営に取り組んでまいります。

 本年が、皆様にとって希望に満ちた明るい年でありますことをご祈念申し上げ、新年のごあいさつといたします。

 

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