需給動向 海外

◆豪 州◆

5月輸出量は3カ月ぶりに前年同月を上回る


◇絵でみる需給動向◇


日本向けは前年同、米国向けは3割増、韓国向けは2割減

 豪州農漁林業省(DAFF)によると、2012年5月の牛肉輸出量(子牛肉含む。船積み重量ベース)は8万6886トン(前年同月比2.6%増)と、3カ月ぶりに前年同月を上回った。主要輸出先別では、日本向けが3万578トン(前年同)、次いで米国向け1万9724トン(同30.3%増)、韓国向けが9,130トン(同20.0%減)となった。

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、日本向けは牛丼に使用する米国産ショートプレートが供給不足となっていることから、豪州産ブリスケットの輸出量が増加し、6,725トン(同13%増)となった。これに伴って、冷凍牛肉も1万8975トン(同8.5%増)となった。しかしながら、低価格志向を反映して冷蔵牛肉は1万1603トン(同11.4%減)となり、全体としては前年同にとどまっている。1〜5月の輸出量は前月までの低調を反映し、12万553トン(前年同期比11.1%減)となった。

 米国向けは、依然として堅調な加工用向けの需要を反映した結果となった。1〜5月でも10万777トン(同58.6%増)と、2012年以降の著しく旺盛な需要がうかがえる。

 韓国向けの減少は、米国産との競合や牛肉需要の低下に加え、韓国での国産牛の増産が影響しているものとみられる。韓国では現在と畜頭数が増加しており、2012年1〜4月のと畜頭数は前年同期比35%増(うち、韓牛は同39%増)、同期間の輸入量は同12%減となった。こうした現状を反映し、韓国向けの1〜5月輸出量は4万871トン(同34.0%減)となった。

 このほかの輸出先では、CIS(ロシア含む)向けの5月輸出量は5,422トン(同11.1%減)、1〜5月は1万7222トン(同30.6%減)となった。前年と比較すると低水準であるものの、2012年1月以降、前月比では増加傾向で推移している。また、輸入牛肉への需要が底堅い台湾向けの5月輸出量は3,744トン(同15.5%増)、1〜5月は1万4379トン(同9.3%増)となった。

図3 牛肉輸出量と増減率の推移
資料:DAFF「Red Meat Export Statistics」 
 注:子牛肉含む、船積み重量ベース
表2 国別牛肉輸出量
資料:DAFF「Red Meat Export Statistics 」
注1:年度は、7月〜翌年6月
注2:CISはロシア他


2012年1〜4月の雌牛と畜頭数は、1996年以来の最低水準

 豪州統計局(ABS)によると、2012年4月のと畜頭数(子牛除く)は53万5581頭(前年同月比2.6%減)、牛肉生産量(子牛肉除く)は15万3759トン(同1.9%減)と、いずれも減少となった。MLAによると、輸出需要の低下が影響した。

 4月の雌牛のと畜頭数は、同7%減の23万4000頭となった。2010年1月以降、気象の改善から、生産者は牛群の拡大を図っており、雌牛と畜頭数は減少傾向にある。2012年4月までに前年同月を下回った月は、22カ月となった。また、2012年1〜4月までの雌牛と畜頭数は前年から1万8000頭減の約100万頭であり、これは1996年以来の最低水準となっている。

図4 雌牛のと畜頭数(1〜4月)の推移
資料:ABS

元のページに戻る