ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、2012年第1四半期(1〜3月)の鶏肉輸出は、数量で前年同期比4.5%増の88万6599トン、金額で同1.8%高の16億3707万6000ドルとなった。2月は2年ぶりに25万トン台と低水準となったものの、3月には33万6000トンと単月で過去最高を記録した。
国別でみると、最大の輸出先は前年に引き続き、サウジアラビアで13万5433トン(同1.8%減)、次いで日本を追い抜いた香港が9万5652トン(同21.6%増)、第3位は日本で8万1968トン(同19.2%減)となった。香港向けの増加は、旺盛な需要を反映したものと思われる。一方、日本は前年後半からの日本国内での増産により、在庫が過剰気味となっており、日本向け輸出に歯止めがかかったものとみられる。中国向けは、前年4月以降、食肉処理施設(65カ所)の輸出が新たに許可され、5万5734トン(同41.7%増)と大幅に増加した。
輸出の伸びは、2011年第1四半期に10.2%増であったが、2012年同期には4.5%増とペースが鈍化している。
図8 鶏肉輸出量および単価の推移
|
|
資料:ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)
|
表5 第1四半期の鶏肉輸出
|
|
資料:SECEX
|
国内は供給過多により価格が下落傾向
ブラジル国内では、第1四半期に入り、それまで上昇傾向にあった生産者価格が前年同期比安で推移している。一方、鶏肉の生産コストの約7割を占める飼料価格は高騰している。これは前年、鶏肉主要生産地域の南部で起こった干ばつによって、トウモロコシなどの飼料穀物の生産が大きく減少したことが一因である。
鶏肉の卸売価格および小売価格も前年同期を下回って推移している。この一因として、鶏肉輸出量が増加したものの、需要に比べ供給が過剰気味であったことが挙げられる。第2四半期以降は、鶏肉の減産やレアル安に伴う輸出増によって、国内需給の改善が見込まれる。
図9 国内のトウモロコシ価格の推移
|
|
資料:サンパウロ大学農学部応用経済研究所(CEPEA)
|
表6 鶏肉の生産および国内価格の推移
|
|
資料:ブラジルブロイラー用ひな生産者協会(APINCO)、
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)、CEPEA
|
|