需給動向 国内

◆鶏 卵◆

鶏卵価格差補填事業、5カ月連続で発動


◇絵でみる需給動向◇


 全国農業協同組合連合会「畜産販売部情報」によると、鶏卵の卸売価格(東京・M玉)は、平成24年1月以降低水準で推移している。4月は大型連休前の手当が影響し、19日には約4カ月ぶりに190円台まで上昇したものの、連休明けの5月7日は再び値を下げて180円となり、その後も続落し、21日には160円となった。鶏卵関係者は、今回の卵価下落について、今年5月は生産量の顕著な増加が認められていないことから、これまでの低水準の価格傾向に加え、季節要因による需要低下によるものであるとしている。

 5月の相場が低調であったことから、国が実施する「鶏卵生産者経営安定対策事業」の価格差補填事業(事業実施主体:社団法人日本養鶏協会)では、先月に引き続き鶏卵標準取引価格(全農たまご株式会社の東京市場と大阪市場において販売された規格卵のキログラム当たりの加重平均価格)が補填基準価格を下回り、平成24年1月から5カ月連続の発動となった。なお、5月の標準取引価格は161.80円であったことから、キログラム当たり20.880円((185円−161.80円)×0.9)が補填されることとなる。

 また、5月21日には標準取引価格が154円まで下落し、「鶏卵生産者経営安定対策事業」のうち、成鶏更新・空舎延長事業(同事業については先月号を参照)の発動基準である安定基準価格(キログラム当たり158円)を下回ったことから、平成23年4月の制度開始以降、初めて同事業が実施されることとなった。

 今後は、成鶏更新・空舎延長事業の実施により鶏卵生産量が減少する可能性もあるが、例年通り、夏場に向けて鶏卵の需要が落ち込むことも予想される。また、配合飼料価格の高止まりが卵価に与える影響も懸念される。5月下旬以降の卸売価格は160円の保合が続いているが(6月18日現在、図8)、今後の鶏卵相場の先行きは不透明となっている。

図8 平成24年度鶏卵卸売価格の推移(東京、М玉)
資料:全農「畜産販売部情報」

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