5月の豚枝肉卸売価格、前年同月比3.6%高
欧州委員会によると、EUにおける5月の豚枝肉卸売価格は、100キログラム当たり162.72ユーロ(1万6109円、1ユーロ=99円)と前月から0.5%下落し、前年同月と比べ3.6%高となった。EU圏を巡る経済情勢不安などから若干の下落を見せたものの、依然として高価格を維持している。要因としては、中国をはじめとした好調な域外輸出が、枝肉価格を支えているものと考えられる。
図7 豚枝肉卸売価格の推移 |
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資料:欧州委員会 |
域外輸出が好調、前年同期比9.1%増
欧州委員会によると、2012年第1四半期(2012年1月〜3月)の内臓肉などを含む豚肉の域外輸出量は前年同期比9.1%増(79万4691トン)となった。
主要輸出国であるロシアが同3.2%増の20万3161トン、中国が同111.0%増の11万6003トンと大きく増加しており、EU全体の輸出量増加を支えている。
特に中国への輸出増は顕著である。香港向けと合わせると輸出量全体の30.4%を占めており、特に内臓肉では全体の50.2%と過半数を占めるに至っている。
さらに、ヨーロッパ向けにおいても、ウクライナ、ベラルーシ、クロアチアで大きく輸出量を伸ばしており、ユーロ安の追い風を受け、今後とも堅調な動向が予想される。
なお、韓国向けについては、口蹄疫沈静化の影響により、減少が予測されている。
表4 EU域外への豚肉など輸出量(第1四半期:1月〜3月) |
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資料:欧州委員会 |
英国、中国と60億円超規模の豚肉輸出に係る政府間協定を締結
英国の環境・食料・農村地域省(DEFRA)のジム・ペイス大臣は5月18日に、中国と豚肉輸出に関する政府間協定を締結し、その経済効果は5千万ポンド(63億円、1ポンド=126円)に達すると発表した。
輸出される豚肉の多くは、英国内ではあまり利用されない内蔵や足、耳など副産物に分類される部位が多くなると見られている。
発表によると、中国の豚肉消費は急速に増加しており、同国内の供給が需要に追いついていないことから、英国豚肉の輸出は年間で5千万ポンド以上の成果があると見込まれている。
また、英国の養豚産業は、今回の協定を足がかりとして、中国で飼養する品種よりも繁殖能力や肥育成績に優れた種豚などの輸出にも繋げたいとの意向を見せている。
なお同省としては、今後、食料生産に関する製品や技術などを輸出産業として発展させるべく、今回の経験をもとに活路を開きたいとの考えを示している。
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