国産牛肉輸出の現状と今後の展開 |
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国産食肉輸出連絡協議会 会長 小島 勝 |
1.はじめに牛肉を始めとした国産食肉の輸出は、我が国の農林水産物・食品の輸出額を平成32年までに1兆円水準とする政府の目標のもと、景気の影響を受けつつも日本食や和牛ブームにも支えられ、増加傾向を示してきましたが、平成22年の口蹄疫の発生、平成23年の東京電力福島第一原発事故の発生等により数量、金額とも停滞気味となっています。 こうした現状を踏まえ、特に和牛を中心とした国産牛肉輸出の現状と展望を整理します。 2.国産牛肉輸出の現状(1)輸出実績日本からの国産牛肉輸出実績は、平成20年までは米国・香港向け等により順調に拡大してきましたが、宮崎県での口蹄疫の発生等により、それまで大口輸出相手国であった米国等が輸入禁止措置をとるなどにより減少に転じ、平成23年は、一部の国・地域への輸出が再開したことから、やや持ち直したものの、ここ数年間は数量、金額とも、頭打感が強くなっています(表1)。(2)国内需要
日本国内の食肉需要を予測すると、総務省統計局の「国勢調査報告」によれば、日本の総人口は、近年の出生率の低下と高齢化の進行により、平成22年時点の約1億2800万人の人口が、この20年間で約1億1500万人と約10%も減少すると予測しています(表2)。 特に畜産物消費に大きな影響を与える15〜64歳の人口は、平成22年の約8100万人から20年後には約6700万人と約1400万人(約17%)の減少が予測され、日本の「食肉需要」は確実に減少していくことが予測されます。
(3)伸張する海外市場一方、海外市場は世界的な日本食(和牛を含む)ブームの広がりや、アジア諸国等における経済発展に伴う富裕層の増加(2010年にはアジア太平洋地域で、投資可能な資産が100万ドル(約8000万円)以上の個人富裕層は、約330万人といわれています)等により、和牛等高品質食品の有望な市場が拡大していると言えます。3.今後の展開 国内需要が縮小傾向にある中、和牛を始めとした国産牛肉にとって、海外の有望な市場への輸出は必要不可欠です。こうした有望な海外市場への輸出促進の取り組みは、多数のポイントがあると思われますが、ここでは、今後の展開として下記3点を整理します。 4.最後に 輸出のメリットは、日本全体の需給バランスの調整にあると考えます。国内需要が縮小する中、海外への輸出を促進することが牛肉の総需要を伸ばすことになり、国内での枝肉相場の安定や和牛生産基盤の維持・拡大につながります。また、輸出を通して、海外での日本和牛ブランドの価値が向上することが、生産現場に「元気」を与える効果もあり、さらには自給率向上につながるものでもあると考えます。
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